６５: ライブ ページ15
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学院内を満遍なく回って、そろそろ奏を探しに行こうかと考え始めた頃。背後からその声が聞こえて振り返った。
奏「あっ、Aくん！ようやく見つけた〜。そろそろステージに立とう」
「おお奏。良いよ、行こうか。じゃあ流星隊、一緒に回ってくれてありがと。またな」
千「ああ。ライブ、頑張ってくれ！」
当然だと笑顔を見せて、ガッツポーズをする千秋と、周りの４人に手を振った。
ハロウィンパーティーもそろそろ大詰め。日が傾きかけてきたこの黄昏時は学院内がオレンジ色に輝いて、ジャックオランタンの光との識別が難しくなる。
ちびっ子達は疲れてしまった子も多いのか、最初よりも減っている。その中を少し早足で歩いた。
「奏、ほぼぶっつけ本番だけどいけるよな？」
奏「うん、多分。君みたいな天才に着いてくための努力はしてるつもりだよ」
「そういう言い方…w」
さも真面目そうに自分を卑下する言葉を放つ奏には心底呆れるが、今はそれを気にしている暇もなく、ただライブのために急いだ。
ーーー
ハロウィンパーティーライブ後___
「はぁ〜疲れた……次はどこがライブするって？早く退散しよう、グダグダじゃお客さんに失礼だ」
奏「次は…ああ、もう一度KnightsとTrickstarじゃない？今回なんか一悶着あったっぽいけど」
「聞いた聞いた。ほんと面白いよな〜Trickstarって」
クスクスと笑いながら、視界を地味に邪魔するマスクを外した。狼モチーフのマスクなので、毛が少し邪魔なのだ。
奏も悪趣味だと笑いながらマスクを外して息を吐いている。その横顔はどこか渉を連想させて、やっぱり兄弟なんだなぁと思う。
ジッとそのまま見つめていると、奏がこちらをチラリと見て首を傾げた。
「あぁごめん、何でもない」
奏「そう？なら良いんだけど。ほら着替えて。また学院を回ろう、それか軽音部室にでも行って寛ぐ？」
うんうんと悩んだ末に後者を選択して、さっさと着替え始めた。
ハロウィンパーティーも疲れるけど…青春って感じがして楽しかった。もう来年は出来ないと思うと寂しい気もするが
「まだ青春し足りないって言っちゃったし」
奏「？ 何の話？」
「いや、こっちの話。気にしないで」
俺の答えに怪訝そうな表情を浮かべる奏の背中をグイグイと押して、夜闇の魔物の拠点へと足を運んだ。
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作者名：瑠璃烏 | 作成日時：2019年12月14日 3時
