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54: 強い ページ4

「弓弦、Trickstarは?まだなの?」


弓「もう少しです。こちらでお待ち下さい」


「待つの嫌いだ…」



オータムライブ当日、弓弦に案内されて来たのは良いものの、ライブがなかなか始まらなくてウロウロしていた。

示された楽屋(?)の椅子に腰掛け指で机をトントンと叩く。


Trickstarは短期間でどれだけのものを手にして、それを我がものにできるのか。今日はそれを見たい。

零や天祥院英智が見込んだのだからこれくらいやってのけて欲しいものだが。それに、出来ると信じたからこそ、与え導き育てているんだ。

弓弦が出していった紅茶を飲み干したところで、人が入ってくる気配がして振り返る。



「おっ、つむぎ。お疲れ〜」


青「ははっ、ありがとうございます。伏見くんに言われて呼びに来たんです。そろそろですよ」


「おーありがと」



手伝いをしたいと言ったら弓弦がダメって言うから待ってたけど、皆んなが働いてる中で座って待ってるってちょっと嫌だ…




つむぎに着いて行くと、綺麗に飾り付けられたステージの前に人集りができていた。

その光景に違和感を覚え、立ち去ろうとするつむぎを引き止める。



「つむぎ、何でこんなに人がいる?」


青「えっ?ああ、実は___」



つむぎが笑顔で語った出来事に、失笑が零れる。不思議そうにするつむぎに首を振って背中を押した。

赤いステージを見上げて目を細める。


夢ノ咲にたった1人の、か弱いと思っていた女の子。でも今、再び認識を改めた。



「……思ってたより強い子じゃん」



話には、彼女が革命における核となったとも聞く。その場を見ていたわけじゃないから何とも言えないけど…侮れない子だ。

少し色んなことを引き受け過ぎな気もするが、それが彼女の楽しみらしいし。

彼女がいればきっと、Trickstarは大丈夫。たまに支えが必要な時もあるだろうけど、きっと。



始まったステージに笑みを深めた。

皆んなに何かしらの変化はあるけど、やっぱり真緒は見込んだ通り強い。あの挫折をバネにして、またどんどん成長する。

どこか吹っ切れたような表情に安堵した。








「ん…?」



突然騒がしくなった背後を振り向くと、Adamの2人がステージに立っていた。


凪砂の勇ましいながらも憂うような表情に、胸が締め付けられる思いがする。


またきちんと、話しに行こう。今度はちゃんと、夢ノ咲のこともfineのことも、聞きに行こう。

今夜はまだ、この楽しいステージを存分に味わっていたい。


.

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作者名:瑠璃烏 | 作成日時:2019年12月14日 3時

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