５２: 暖かい ページ2
「よし、OK。俺が外国行ってる間に随分上手くなったな。誰かに教わった？」
奏「真緒とか、あと嵐と凛月もKnightsにいるだけあって上手いから教わったりしたよ」
「なるほど……上手になっててちょっと驚いた。七夕祭の時も思ったけど」
ありがとうと笑う奏は、また一段と大人っぽくなったみたいだ。兄に甘やかされて育っているとは思えない。
渉がベタベタしてても嫌がったりしないし…皆んなの理想的な弟だと思う。それでも俺はレオたちが大事だけど。
音源などを片付けながら、いつの間にか制服に着替え終わっている奏を見て笑う。
「あ、そういや本番っていつだっけ？」
奏「ハロウィンの少し前だよ」
「ああ、ハロウィンもあったっけ。ハロウィンはどうする？出てもいいけど」
奏「うーん、準備期間を見て考えよう」
頷いて応え、レッスン室の電気を消した。
「ケホッ……うっわ結構暗いな。奏お前１人で平気？」
奏「うん、大丈夫。Aくんも気を付けてね、咳してるし」
「分かってる、大丈夫だよ。じゃあまた」
今日は日々樹家のお母さんの誕生日らしく、俺たちはそれぞれの家へ帰ることになった。
暗い夜道を１人で歩かせるのも心許ないが、あそこのお家は寄ると「上がって行って」という感じだから申し訳ないし。
何度も咳き込みながら、早く家に帰ろうと足を速めた。
ーーー
暖かい家の灯りが見えると、とても落ち着く。マフラーに顔を埋めながらインターホンを鳴らした。
はーい、という可愛らしい声が聞こえて、すぐにドアが開く。
ル「お帰りなさい…♪」
「ただいま、ルカ。もう義父さんも帰ってるよね？」
コクリと頷くルカの背をそっと押してリビングに向かうと、ちょうど夕飯を食べるところだったらしく、リビングにはいい香りが漂っている。
義母さんがエプロン姿のまま笑顔で出迎えてくれて、ますます頬が緩んだ。
「ただいま。義母さん、義父さん」
笑顔でおかえりを言われると、あぁ帰って来たんだな、と思う。
レオを呼んだ方がいいかと聞くとお願い、と頷く義母さんに了承の意を伝え、洗面所からレオの部屋へ向かった。
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作者名：瑠璃烏 | 作成日時：2019年12月14日 3時
