67 鬼化 ページ17
飲み込んだ時の感触はもちろん最悪だった。
だけど、明らかに体に異変が起こっているのも分かる。
擦り傷がすぐに消えていく。
体の疲労感が消えていく。
そして…
「嘘…!」
「ヒョッ!?何故人間が体の再生など…!」
左手が、再生した。
流石にこれには驚いた。
でも驚いている時間が惜しいのだ。一刻も早くこいつを片付けなければ気が済まない。
視界を邪魔する眼帯を放り、左足を後ろへ引いて姿勢を低くする。
善逸が言っていた。この技はとにかく、脚に意識を持っていくこと。
細く長く息を吐いて目を閉じ、今の状況を脳内に浮かべる。
今あの鬼は私の目の前にいる。鬼と小屋との距離は約20尺で私は小屋のすぐ側にいるから、直線的なこの技で一撃は入れられる筈だ。
雷の呼吸 壱ノ型 霹靂一閃
「…!」
袈裟斬りになってしまった
これじゃ爪で攻撃される…!
慣れない技を出した直後のまだ整わない体勢で攻撃されたら流石に避けられない
まあ私も再生するけど…
ぎゅっと目を瞑った瞬間、刀が何かを弾く高い音が響いた。
痛く、ない…?
ふわりと空気が揺れ、目を開けるとそこには見慣れた後ろ姿。
「無一郎…!」
「体は?」
「大丈夫。さっき壺の欠片を食べたから」
「……ここは俺が受け持つから、Aは里へ行って」
いつもより凛々しい後ろ姿に、声に、ここは任せても平気だと思った。
本当ならこいつは私が倒したい所だけどそうも言っていられない。確かに、里へ行くのが最善の判断だ。
「分かった。必ず、朝ね」
「分かってる」
「おい待て!この私を傷付けておいて逃すわけがっ……ヒョヒョッ!?」
「Aに触るな。糞野郎」
私に伸ばされた腕が、一瞬で斬り離された。
「糞野郎」なんて言う無一郎は本当に珍しくて呆気に取られながらも、早く里へ行かなければと足を早めた。
そういえば、と思って腕に付着したさっきの鬼の血液を見遣る。
これ舐めたら、もっと強くなれるかも…?
一時的にだけど。本当は絶対に嫌だけど。でも気配からして里には今上弦が二体来てる。
「手段は選べない…かな」
ただ舐めるのも気色悪くて、ガブリと噛み付くようにして血液を舐め取り体内に取り込んだ。
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瑠璃烏(プロフ) - いちごぱふぇさん» (今更かよって感じですが返信させて頂きます(ー ー;))ありがとうございます!こういうチートキャラ的なの書いてみたかったので作者も楽しかったです。最後まで閲覧頂きありがとうございました! (2020年7月28日 19時) (レス) id: c14d105dae (このIDを非表示/違反報告)
いちごぱふぇ(プロフ) - ああもう好きです!!!!好きすぎて好きが止まんないですどうしてくれるんですか! (2020年7月7日 20時) (レス) id: e2dd6d7f46 (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃烏(プロフ) - ゆりなんぽんさん» ぜひ拝読させて頂きます!改めて、最後まで閲覧頂きありがとうございました! (2020年4月20日 22時) (レス) id: c14d105dae (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃烏(プロフ) - manamimoon0511さん» ありがとうございます!楽しんで頂けたのなら本望です(´∀`*) (2020年4月20日 21時) (レス) id: c14d105dae (このIDを非表示/違反報告)
manamimoon0511(プロフ) - 凄く面白かったし素晴らしかったです!!ほんっとに有難う御座います!!!! (2020年4月20日 18時) (レス) id: 0aa1fe61f0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:瑠璃烏 x他1人 | 作成日時:2020年4月2日 10時