8 反物屋 ページ8
炭治郎が来てから約1年と半年___
岩を切れたら最終選抜に行かせてやる、というおじ様の条件を達成するべく、炭治郎は修行に励んでいる。
そんな中で私は、禰豆子ちゃんを傷つけかけるという事が度々続いていた。
何故かは全く分からないのだ。だから怖い。
「おじ様…私、今日は修行お休みしても良いですか」
昨日もやってしまった事のショックが抜けきらず、弱々しく口にする。
おじ様は少し黙って、でも静かに了承してくれた。
「……分かった。そういえば、反物屋に行きたいと言っていたな。行っておいで」
「! 本当!?勿論行ってきます!」
「明るいうちに必ず帰ってくるように。良いな?」
「はい、おじ様!」
久し振りに、気分が高揚するのが分かった。
おじ様がくれていたお小遣いもかなりの額になっているから、幾つかの反物は買えるだろう。
心配そうにしながらも見送ってくれるおじ様に手を振って、町へと駆け出した。
ーーー
「わぁ…!」
町は、キラキラしている。
道中で買った金平糖を口に放り込みながら、目的地であった反物屋を見て回った。
不意にひとつの反物が目に留まり足を止める。
綺麗な、藤色。
藤色よりも少し明るめでさりげなく白い川の模様が入っているそれは、私の目を惹いて離さない。
それをジッと見つめていると、店主が声を掛けてきた。
「嬢ちゃん、それが気になるかい?」
「あ、はい。とても綺麗…!」
「それはなかなか手に入らないから、買うなら今のうちだよ?」
「ふふっ…じゃあ、これとこれ、あとこれも頂けますか?」
「まいどあり!」
上手いこと乗せられたな、と自覚しながらも欲しかったのは本当なので、それと他にも幾つかの反物を選んで買った。
笑顔の店主に手を振って、早く帰ろうと駆け出す。
もう少しで町を抜ける、というところ。
「きゃっ…!?」
「おい嬢ちゃん、なかなか良いもの買ってんなあ?」
「……………はい?」
.
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瑠璃烏(プロフ) - 澄葉流さん» ありがとうございます!頑張ります! (2020年2月27日 11時) (レス) id: c14d105dae (このIDを非表示/違反報告)
澄葉流(プロフ) - とても面白いです!更新頑張ってください! (2020年2月26日 22時) (レス) id: 73c9d55ae5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:瑠璃烏 | 作成日時:2020年2月26日 16時