7 憎い ページ7
半年後___
「炭治郎っ、大丈夫!?手当てを…!」
「な、何でそんなに無傷なんだよ…」
「他の人がやっているのを見てきたから。それより手当て!早くこっちへ来て!」
「は、はいっ!」
山降りってもっと過酷かと思っていたけれど、思っていた程では無かった。傷は負ったけど酷くはないし。
あんな風に山を駆け回るなんて本当に久しぶりだったからちょっと楽しかった。
刀を持たせて貰って、何度も素振りをして、炭治郎が滝に打たれているのを眺めて。
そんなこんなでもう半年だ。
傷だらけの炭治郎を隣に座らせ、傷に薬を塗って包帯を巻いていく。大人しく手当てを受けていた炭治郎が不意に口を開いた。
「なんか…凄いんだね、A」
「あははっ、ありがとう。あ、ねえ今日の夕飯は肉じゃがなんだけど良い?」
「うん、勿論!」
「よかった。沢山食べてね」
手当てが終わって道具を片付け、そんな会話を交わして笑った。
この家にいる人は、私にとって家族も同然。その人たちが笑ってくれるのなら、喜んでくれるのなら家事でも何でもする。
外に出ているおじ様を呼びに行く前に、禰豆子ちゃんの様子を見ようと引き戸を開いてそっと中へ踏み入った。
そっと触れた手に伸びる爪を見て、胸の奥から何かどす黒いものが這い上がってくる。
鬼
鬼だ
鬼だこの子は
憎い、憎い、憎い、憎い
よくも私のお母様を。お姉様を。
「っ何するんだ!!」
「!? 炭治郎!え、今なにを…」
自分の今の状況を把握しようと、一度深呼吸をする。
目の前には禰豆子ちゃん。
私の右手は炭治郎に掴まれていて、左手は……
「え…?」
「A」
「お、おじ様…私、今この子の首を…?」
左手は、禰豆子ちゃんの首を掴んでいた。
首を締めようとしていた?私が?この子の首を?
炭治郎の大事な大事な妹さんを?
自分のしていたことに恐怖を感じて、思わず炭治郎に縋り付く。
「ご、ごめん、ごめんなさい…ごめんなさい…!」
「え、あ…A…?大丈夫か?」
「炭治郎、その子をこちらへ」
「は、はい」
炭治郎に支えられておじ様の腕の中に収まる。
トントンと背中を叩かれるとようやく落ち着いてきて、乱れていた呼吸を整えた。
無意識に人を殺そうとしていた自分が恐ろしい。
意味が分からなかった。
分からないから、怖かった。
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瑠璃烏(プロフ) - 澄葉流さん» ありがとうございます!頑張ります! (2020年2月27日 11時) (レス) id: c14d105dae (このIDを非表示/違反報告)
澄葉流(プロフ) - とても面白いです!更新頑張ってください! (2020年2月26日 22時) (レス) id: 73c9d55ae5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:瑠璃烏 | 作成日時:2020年2月26日 16時