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33 勧誘 ページ33

「あ、あの…継子ってつまり」


「俺に直接、指南を受ける気はないか」


「そ、そういう事ですよね…。えっ、でも何で私なんか…?」



困惑気味にそう問うと、冨岡さんはほんの少し眉を顰めた。



「『私なんか』?なんか、じゃない。お前には才能がある」


「そんなこと…

「元下弦の肆を独りで倒した。下弦の伍の血鬼術を破った。毒の回った状態で、蟲柱である胡蝶しのぶの継子と互角にやり合った」


「ま、待って下さいっ

「つい先日、隠の男を蹴り飛ばし、拘束していた縄を引きちぎった」


「ッ待って!」



つい、大声で遮ってしまった。だって仕方が無いじゃない。


元下弦の肆を倒した?下弦の伍の血鬼術を破った?


そんなの身に覚えが無い。

身に覚えの無いことを凄いと言われたって嬉しいのかよく分からない。

それに私はあの山で、蜘蛛が怖くて善逸に全て押し付けて逃げたのだ。


そんな奴が継子になるなんて…



「わ…私は…っ」



その時、ふわりと風を薙ぐような音がしたと思えば次の瞬間優しく抱き寄せられた。



「ちょっと冨岡さん。こ〜んなに可愛い女の子を困らせるなんて…嫌われますよ?」


「! こっ、胡蝶さま…!?」


「Aさん、大丈夫ですか?一方的に捲し立てられて困ったでしょう?もう平気ですよ。私が守ってあげますからね」



固く握りしめていた両手を優しく包まれ、目線を合わせて柔らかく微笑まれ、体から力が抜ける。

そんな私とは裏腹に、冨岡さんは不機嫌丸出しだ。刺々しい声が胡蝶さまに突き刺さる。



「……何の用だ」


「いえ、先を越されてしまったと思いまして」


「!……まさか」


「ええ、その通りです」



きっと私の頭の上は『?』の記号で一杯だろう。2人が何を話しているのか、全くもって意味が分からない。

しかし私の様子に気付いていないらしい胡蝶さまは優しくにっこり笑って、私の正面にしゃがみ込んで口を開いた。



「Aさん、私の継子になりましょう?」


「…………」



そう言われた瞬間、私はバタンと倒れた。(らしい)

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瑠璃烏(プロフ) - 澄葉流さん» ありがとうございます!頑張ります! (2020年2月27日 11時) (レス) id: c14d105dae (このIDを非表示/違反報告)
澄葉流(プロフ) - とても面白いです!更新頑張ってください! (2020年2月26日 22時) (レス) id: 73c9d55ae5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:瑠璃烏 | 作成日時:2020年2月26日 16時

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