戦え舞え舞え藤の花 (ページ27)

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27 煩いページ27

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どうして…

どうして、どうして

「この子は殺さないで！この子は鬼どもとは違う！炭治郎の妹なの！」

どうして返事もしないの？どうして斬り掛かって来るの？どうして…

口から血を吐きながら、禰豆子ちゃんを後ろに庇う。

目の前で刀を握っているのは、長い黒髪を右上で括り、蝶の髪飾りを着けた女の子。

息を吸い込む音。

それを聞いて、振り下ろされる刀を往なす。

ああ駄目だ……もう手足の感覚が無い…この子と戦う力は残っていない…

そう悟って、私は行動を変えた。

刀を鞘に収めて、禰豆子ちゃんを庇うように抱きしめる。

「この子を斬るなら私ごと突き刺して！」

「っ…」

その子が怯んだその時、鴉の羽音が鼓膜を揺らした。

〈本部ヨリ伝令アリ！炭治郎、禰豆子、両名ヲ拘束！本部へ連レ帰ルベシ！〉

「禰豆子ちゃんを…？」

「その子…禰豆子？」

「殺さないで…ね……」

「！」

禰豆子ちゃんを抱きしめ口から血を吐き零したまま、私は意識を失った。

ーーー

____遠くから声が聞こえる

いや実際は多分近くだ…私の意識の問題…

「やい！やい起きろ！いつまで転がってんだ！」

はっきりと聞こえた瞬間、怒鳴り散らす。

「っ煩い！耳が壊れる！」

「おっ…お前！口を慎め！」

そう言われた瞬間、ハッとして顔を上げる。

これは……

「柱の前だぞ! !」

柱……

柱…？

鬼殺隊の中でも最高位の？

そんな人達が、今目の前に居るということ？

脳での処理が追いつかない…

私は思考を放棄して、周りを見回す。庭園のような場所だということは分かった。

そこでまた、耳元で叫ばれる。

「おい聞いてるのか！」

途端に頭の中でキーンと音がした。その耳鳴りに耐えられず、柱の前らしいのに大声で怒鳴り返してしまった。

「痛い痛い耳が痛い！大声を出さないで！あなたの声は耳に痛いの！大声を出すなら声質を変えてからにして！」

「なっ…！」

「落ち着け」

グッと肩を引かれて、そちらを向けば見慣れた顔。

「お兄ちゃん……助けて…煩いのさっきから！足音も話し声も葉のざわめきも呼吸音も心音も全部"聞こえる"！煩いの！全部全部煩い…煩い煩い！もうやめてよ！煩いんだってば！！」

いつの間にか涙がボロボロと零れていく。変な頭巾を被った男を蹴り飛ばして腕を縛る縄を引きちぎり、ぎゅうっと耳を塞いだ。

ああ自分は何をしているのだろう…

そう、思う。