秘書は引っ張りだこです (ページ2)

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夜遅く先輩から呼び出されたので屋上に向かった
屋上のドアをあけると、たそがれている先輩がいた

先輩の名は迅悠一
自称実力派エリート

先輩はこちらに気がつくと手を振りながら

悠「おっ、来た来た遅くにごめんね〜」

　「お疲れ様ですこんな夜中に何でしょうか？先輩」

先輩は、私から視線を外すと空を見ながら口をひらいた

悠「近々、面白い子達がうちに入ってくる感じなんだ」

　「…面白い子達？」

悠「一人はメガネ君で、後は〜…俺もまだ会ったことないからなんとも言えないなあははは」

　「…まだ続きがありそうですね」

すると先輩は急に真面目な眼差しで私を見た

悠「もし、黒トリガーを手放すことになったら…A、お前どうする？」

　「……」

私は無意識に、ネックレスを握りしめていた
先輩は頭をかきながら、私に背中を向けた

悠「Aには、隠しても感づかれそうだから言うけど…どーやら、俺たちの黒トリガーを本部に渡さなきゃならない自体が起きるっぽくってさ」

　「仮定を濁して、結論だけ言われても理解が出来ないんですが…」

悠「んー……まだ、その間がいくつものあって見えてない部分もあるんだよね〜未来は無限に広がっているから」

　「無限に広がっているのに、黒トリガーは渡すのだけは確定なんですね…」

悠「いや、まだ時間はあるからなんとかしようと思ってるよ」

先輩は、考えなしに軽率なことを言わないことは解ってる…
多分、黒トリガーを渡すのは確定なのであろう
でも…素直に分かりましたと言えなかった

　「…お先に失礼します」

私は誤魔化した…
そして屋上から逃げるように自室に戻った

ベットに、ねっ転がりネックレスを見つめる

母さんが自分の目の前で塵となった…おぼろげな記憶を思い出した

　「…いざ、言われると……解らないよ」
　

もう涙は枯れてしまったのか、母さんが黒トリガーになってから喜怒哀楽を感じないわけではないが顔に出なくなった

そして時がたつにつれて、母との思い出の物は壊れていき
ちゃんと形で残ってるのは、この黒トリガーだけ

　「巣立ち、なのかな…」