ロビー ページ10
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よく見てみると、壁には黒船をモチーフにしたような模様が広がっていた。
ロビーにはグランドピアノ、休憩用のフカフカなソファとテーブル。
でっかいカラフルな水槽もあった。
早速、小塚君は水槽の方に飛んで行った。
ラウンジにはウェルカムドリンクとお菓子の山が置かれていたんだ。
私は近寄り、“ご自由にお食べ下さい”の文字を確認してからお菓子を選ぶ。
「あれ、アーヤ何してるの?」
と黒木君。
「これ食べていいんだって。どれにしようかな・・・。」
黒木君はクスッと笑う。
「じゃ、俺も頂戴しようかな。」
おもむろに1つチョコを取って口の中に放り込み、ソファに座る。
長い足を組み、ソファの背もたれにもたれ掛かる。
その仕草一つ一つに気品を感じさせる黒木君は、やっぱり凄いな。
「お、美味いねこれ。」
黒木君が食べたのは、抹茶味のトリュフだった。
じゃあ、私も同じの食べようかな。
私は同じチョコを取り、パクッと食べ、もぐもぐと噛んで味わう。
ん、美味しい。
緑色の包み紙を捨て、なんとなく黒木君の隣に座ったんだ。
すると黒木君は得意げに口を開いて言った。
「アーヤ、右見てみなよ。」
「わ、綺麗。」
言われた通り、右を見ると今通ってきた玄関は、全てガラス張りで、海側の壁も全部ガラス張りになっていたんだ。
そして、そこからは海が見えた。
その海にはたくさんの船がある。
「アーヤ、黒木。手続き終わったぞ。」
いつの間にか真後ろには若武が立っていた。
だが、若武の表情は曇っていた。
どしたんだろ。
若武はいつものクセで髪をクシャッとかき分ける。
「あのさぁ・・・すげぇ言いづれぇんだけど・・・」
ん、どしたの。
「俺の親父、2部屋だけしか取って無かったらしい。」
黒木君は苦笑い。
「そりゃ参ったな。男6人で3つのベッドか。」
「ちっきしょう。それしかねーよ。」
若武のお父さん、どっか抜けてる所あるんだね・・・
私も苦笑い。
・
「・・・ってことなんだけど。」
散らばっていた皆を集めて、若武は先程の説明をした。
「ん、了解。」
案外すんなりと受け入れた。
まあ、KZの合宿とかで慣れてるもんね。
結局、私は1人部屋で他の皆は全員私の部屋の隣、ということになった。
私、1人でも大丈夫かなあ。
「何してんだ、アーヤ。置いてくぞ。」
はっと我に返ると、既に若武はエレベーターの中に居た。
わ、待って!
私は慌ててエレベーターに乗り込んだ。
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ふわふわ - 新しい作品楽しみにしてます!^_^ (2020年5月14日 16時) (レス) id: 25ce3e61b4 (このIDを非表示/違反報告)
みーみ - この話完結してなくないですよ。 (2020年4月18日 15時) (レス) id: d089e3229f (このIDを非表示/違反報告)
おれんじ - 続きをお願いします (2020年4月8日 16時) (レス) id: c350fd39bf (このIDを非表示/違反報告)
ツキ - 訂正してばかりですが、お話面白いので、頑張ってください! (2020年4月1日 10時) (レス) id: ec2bb43d30 (このIDを非表示/違反報告)
ツキ - 29ページの『ごめんな。』で、「息がかかりほうなほどに、」とありますが、「息がかかりそうなほどに、」ではないでしょうか (2020年4月1日 10時) (レス) id: ec2bb43d30 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こむぎ。 | 作成日時:2019年1月2日 14時