隣には ページ5
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それじゃ、窓からの眺めは最高ってことだね。
うーん、楽しみ!
私が目をキラキラ輝かせていると、それに気付いた若武はすぐさまこっちに向き直った。
「アーヤ、俺達が泊まるホテルの隣には何があると思う?」
え、なんだろう。
わざわざそんなこと言うってことは、何かあるに違いない。
全く見当がつかなかった私は小塚君に助けを求めた。
が、皆首を傾げている。
がっくり。
私達は若武の回答を待った。
若武はいきなり小声で話し始める。
「いいか、よく聞けよ。
静岡には、いくつか心霊スポットがあるんだ。」
ふむふむ。怖い。
「それで、本物の、幽霊が、出る有名な、廃ホテルの心霊スポットがあるんだけど、」
若武は小声で、1語1語ゆっくりと話すものだから、私はどきどきしながら聞いていた。
うんうん、それで。
「俺達の、泊まるホテルの、隣にはその、廃ホテルがあるんだ!」
ぎゃっ!!
廃ホテルの事もそうだけど若武が急に大きな声を出したことにびっくりして、思わず立ち上がってしまい車の天井に頭をぶつけた。
小塚君も少しビクッと飛び上がった。
「おい若武、あんまりアーヤを怖がらすんじゃない。
それと危ないからちゃんとシートベルトしてね。」
黒木君が私の頭を撫でながらそう言った。
う、頭を撫でられるのって恥ずかしい・・・だけど痛い。
「心霊スポットなんて誰が信じるか。どうせデマだデマ。俺は信じねーぞ。」
その手の話にはウンザリ、といった顔で上杉君が言う。
「え、俺その廃ホテル気になる。行ってみてもいい?」
その横で忍が目を輝かせていた。
この2人の温度差って凄いよね。
「行くのは構わないけど、幽霊は引き連れてこないでよね。」
と、忍を睨む翼。
翼って案外、怖がりなのかも。
私もよく考えてみると、怖くなってきた。
だって、幽霊がうじゃうじゃ居る隣で寝なくちゃならないってことでしょ。
無理っ!耐えられない。
私はスーッと顔が青ざめていく。
「なに、アーヤ本気で怖がってんの?」
若武はいつも通り軽い調子で私に聞く。
いや、あなたのせいだからっ!
「いざとなったら、俺が助けるぜ。」
いいっ!要らない!
私はふんっと、そっぽを向いた。
「まあまあ、折角遊びに行くんだし皆楽しもうよ。ね?」
小塚君の慰めに、私は少しだけ気分が落ち着いた。
ああ、小塚君って天使だ・・・。
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ふわふわ - 新しい作品楽しみにしてます!^_^ (2020年5月14日 16時) (レス) id: 25ce3e61b4 (このIDを非表示/違反報告)
みーみ - この話完結してなくないですよ。 (2020年4月18日 15時) (レス) id: d089e3229f (このIDを非表示/違反報告)
おれんじ - 続きをお願いします (2020年4月8日 16時) (レス) id: c350fd39bf (このIDを非表示/違反報告)
ツキ - 訂正してばかりですが、お話面白いので、頑張ってください! (2020年4月1日 10時) (レス) id: ec2bb43d30 (このIDを非表示/違反報告)
ツキ - 29ページの『ごめんな。』で、「息がかかりほうなほどに、」とありますが、「息がかかりそうなほどに、」ではないでしょうか (2020年4月1日 10時) (レス) id: ec2bb43d30 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こむぎ。 | 作成日時:2019年1月2日 14時