浮き輪は必要か ページ4
.
私は眠い目を擦りながら、あくびをする。
もう少しで黒木君たちくるかな、と思った矢先、下からママの声が聞こえた。
「アーヤ、黒木君よ。」
私は階段を1個飛ばしで猛ダッシュで玄関へ!
もう来たんだっ!
「アーヤおはよう。気合入ってるね。」
急いで階段を降りてくる音を聞いたのか、艶やかな瞳で黒木君はクスっと笑う。
むっ。
私が靴を履いている間に、黒木君にうっとりしながらママが言う。
「黒木君が付いてるんだから平気よね。それじゃ、行ってらっしゃい。」
私は生半可な返事をして黒木君の後を追った。
家の目の前に停まっていた黒い車に乗り込むと、そこには皆が揃っていた。
若武、忍、上杉君はゲーム。
小塚君は何かの図鑑を読み、翼は窓にもたれかかりながら爆睡・・・。
皆がそれぞれ自分の事に集中していた。
「じゃ、駅まで。」
「了解。」
友達の運転士さんと黒木君の会話を横目で見ながら、荷物をボンネットに起き、空いている席に座った。
楽しみっ!
私はふと隣でゲームをしている若武に目をやって、ギョッとした。
「お、アーヤどした?」
どしたじゃないっ!
若武はなんと、浮き輪を身に付けていたんだ。
その浮き輪、邪魔!
ただでさえ1つの車に7人で乗ること自体が無理矢理なのに、そのせいで私の座るスペースが狭くなっていたんだ。
バカ武。
私は、目でそう言いながら若武の方を睨んだのに、本人はゲームの世界に戻ってしまった。
小塚君がくすくす笑いながら言う。
「若武ったら、海で遊ぶ気満々なんだよ。
さっきから上杉が、その浮き輪邪魔って言ってたんだけど、全く聞く耳を持たないから諦めたらしい。」
上杉君の方を見ると、若武から1番離れた席に座っていた。
「まあ、海で頭冷やすのにはちょーど良いかもな。」
忍がボソッとつぶやいた一言に、爆笑の嵐。
若武はもうカンカンに怒って忍のゲームを取り上げ、それが手からスルッと滑り落ち、寝ていた翼の頭に激突!
翼のサラサラの髪の毛がぱっと舞う。
それで、さらに皆が爆笑。
翼は周りの状況が掴めず、ぽかんとしていた。
そんな表情でさえ、綺麗なんだ。
いや、なんかかわいい。
「そういえば、泊まる場所は海から近いの?」
黒木君の質問に、忍とじゃれ合っていた若武は手を止めた。
「ああ、海の目の前のホテルだぜ。きっと絶景だ!」
92人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「探偵チームKZ事件ノート」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ふわふわ - 新しい作品楽しみにしてます!^_^ (2020年5月14日 16時) (レス) id: 25ce3e61b4 (このIDを非表示/違反報告)
みーみ - この話完結してなくないですよ。 (2020年4月18日 15時) (レス) id: d089e3229f (このIDを非表示/違反報告)
おれんじ - 続きをお願いします (2020年4月8日 16時) (レス) id: c350fd39bf (このIDを非表示/違反報告)
ツキ - 訂正してばかりですが、お話面白いので、頑張ってください! (2020年4月1日 10時) (レス) id: ec2bb43d30 (このIDを非表示/違反報告)
ツキ - 29ページの『ごめんな。』で、「息がかかりほうなほどに、」とありますが、「息がかかりそうなほどに、」ではないでしょうか (2020年4月1日 10時) (レス) id: ec2bb43d30 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:こむぎ。 | 作成日時:2019年1月2日 14時