ごめんな。 ページ29
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私は、寝ている振りをして目を瞑る。
恐怖心で、身体の震えが止まらない。
こういう時、KZの皆ならどう切り抜けるんだろう。
若武の様な脚力なんか持って無いし、上杉君の回転の早い頭脳も持ってない。
小塚君の様な洞察力、黒木君の様な余裕、翼の様な策略家でもない、忍の様に呪術も使えない。
私には何も持ってないっ!
ゆっくりとこちらに近付いてきた気配がし、私は目を半分開けて確認する。
そして、彼の手にしている物を見つけ、青ざめたんだ。
それは、ハサミだった。
ハサミを持つ手が近づいてきて、私は冷や汗が止まらない。
刺されるっ!
私が、ぎゅっと目を瞑り覚悟を決めていると、後ろでザクッという音と共に、私の両手が自由になった。
彼は、私の縛っている縄を切ったようだった。
私はとりあえずホッと安心。
だけど、まだ油断は出来ない。
すると、彼はハサミをベッドに投げ捨て、いきなり私の頬に手を差し伸べたんだ。
ひんやりとした手に、頬が包まれる。
私はあまりにも予想外の出来事に、寝たフリをしていたことを忘れ、両目を見開いた。
息がかかりほうなほど近くに、彼の顔はあった。
バチッと目が合う。
その瞳はどこからか寂しげな雰囲気を漂わせている。
「ごめんな・・・。」
彼がボソッと呟く声が聞こえた。
はっ!?
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ふわふわ - 新しい作品楽しみにしてます!^_^ (2020年5月14日 16時) (レス) id: 25ce3e61b4 (このIDを非表示/違反報告)
みーみ - この話完結してなくないですよ。 (2020年4月18日 15時) (レス) id: d089e3229f (このIDを非表示/違反報告)
おれんじ - 続きをお願いします (2020年4月8日 16時) (レス) id: c350fd39bf (このIDを非表示/違反報告)
ツキ - 訂正してばかりですが、お話面白いので、頑張ってください! (2020年4月1日 10時) (レス) id: ec2bb43d30 (このIDを非表示/違反報告)
ツキ - 29ページの『ごめんな。』で、「息がかかりほうなほどに、」とありますが、「息がかかりそうなほどに、」ではないでしょうか (2020年4月1日 10時) (レス) id: ec2bb43d30 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こむぎ。 | 作成日時:2019年1月2日 14時