悔しくて ページ33
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お風呂入って良いかと聞くと、お湯は沸いているから服とタオルを持って行けと言われた。
「あ」
「なんだよ……」
「わたし、身体が痛くて動けない」
はぁ?と彼は眉をひそめる。何やらぶつぶつと独り言を言ったあと、どこからかスマホを出して耳に当てた。
「おー青子?……Aがまた体調崩してうちにいるんだけどー……いや違うって。一緒に風呂入ってくれねーか?」
青子ちゃんに頼んでくれているらしい。やっぱりこの人は頼もしい味方だ。
痛い頭を抱えながら快斗くんを見つめていると、彼は「惚れたか」とでも言うようにニヤリと笑った。
ジト目で返すと、彼は頰を膨らましながらスマホを耳から離した。
リスのようで可愛いと不覚にも思ってしまった。
「青子が来てくれるから感謝しろー」
「はいはいありがとうございます」
「うわぁ棒読みー」
少しして来てくれた青子ちゃんに支えられて一緒にお風呂に入った。
身体がだるかったけど結構楽しかった。
青子ちゃんを見ていたら蘭ちゃんを思い出した。
蘭ちゃん、元気かな。
お粥を口に入れながらぼんやりとそう思った。
寺井さんはわたしのことを心配しているようで、結構な頻度でちらちらとした視線を感じた。
わたしのことなんか、心配してくれなくても良いのにな。
人の家に住まわせてもらう人がそんなこと考えてどうするんだ、と握りこぶしを作った。
今回も入れて寝転ぶのが三度目になるベットの上で声を殺して泣いた。
今頃、梓さんは驚いているかな。
透さんは、責任感じちゃってるかな。
コナンくんは先に気づけなくて悔しがってるかな。
哀ちゃんと他の3人は気づかずに仮面ヤイバーでも観てるかな。
黒の組織は、わたしが死んだと思ってないんじゃないかな。死体が見つかっていないんだもの。
自分がすごく嫌になった。
透さんに、頼る訳にはいかなかった。
わたしの能力を知る人を、極力減らしたかった。
快斗くんに頼るしかなかった。
ーーあぁ。家族に、会いたい。
自分だけ生き残ってしまったのが悔しくて、唇を噛んでぽろぽろと涙を零した。
枕に涙のしみが出来てしまったのが申し訳なかったので、次の朝早起きして洗い、こっそりと干しておいた。
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たんぽぽ珈琲(プロフ) - わーんいつのまにか30万hit超えてたー。嬉しいです。ありがとうございます。これからも名探偵コナンの夢小説盛り上げていきましょー! (2020年12月14日 22時) (レス) id: bfc4d62160 (このIDを非表示/違反報告)
たんぽぽ珈琲(プロフ) - 明里香さん» 誤字の指摘、ありがとうございます。お恥ずかしい限りです……。明日までには直しますね。 (2018年11月18日 19時) (レス) id: 24c9be7e32 (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - タイトルの掛け、「賭け」ではないですか? (2018年11月17日 23時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 特製ミルクティーの話、誤字がありました。「こんな事始めて」ではなく、「こんな事初めて」です。 (2018年11月17日 23時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
たんぽぽ珈琲(プロフ) - 星を見守る砂岩さん» きゃー!そう言って頂けて嬉しいです!!更新頑張ります! (2018年10月13日 22時) (レス) id: 24c9be7e32 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:たんぽぽ珈琲 | 作成日時:2018年8月23日 3時