藤柱は何か抱えてるようです

師の願い ページ6

鱗滝side

正直に言うならば、本当はAや義勇、錆兎、真菰。

この4人の最終選別は期待もあったが不安も大きかった。

勿論、四人とも優秀だったが、

四人が通るほど最終選別は甘くはない。

その中であの子たちを出すのは躊躇があった。

4人とも優秀だったが、

四人全員が無事で帰って来れるかどうかは一目瞭然だった。

意を決して四人を最終選別に出した。

四人が帰ってくるまでの7日間は食事も喉に通らなかった。

7日間が終わり、

外から足音がした。

急いでそちらへ向かうと、

義勇とAがいた。

二人を抱きしめると、

Aは泣き崩れた。

｢わたしのせいで…！わたしのせいで錆兎も、まこもも！しんじゃった…！｣

隣にいる義勇も口には出さないが、苦しいに決まっている。

Aと義勇にご飯を振る舞うと、

Aは泣き疲れたのか寝てしまった。

そこで、義勇に最終選別で何があったかを聞いた。

今までの弟子がいなくなっていたのは手鬼という鬼のせいだということ。

それは、儂が藤襲山に閉じ込めた鬼のことで、

儂への復讐のためにその鬼がわたしの弟子をころしていること。

儂のせいだったのか…？

錆兎も、真菰も、他の弟子たちも、

儂のせいで死んでしまったのか…？


何よりも、

義勇とAの精神状態が不安で仕方なかった。

このままAが壊れてしまうのではないか。

義勇が不安で押しつぶされてしまうのではないか。


それが一番、



不安だった。

心に空いた穴→←彼の心の内。

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