藤柱は何か抱えてるようです

守るために。 ページ30

鱗滝side

Aが家に来た時、

あの子はまだ両親が亡くなったことをあまり理解出来ていなかった。

だが、一緒に過ごしていくうちに

何があったかを察するようになった。

そんなある日だった。

Aが呼吸を知った時、

Aは『水の呼吸を教えて欲しい』

そう儂に言ってきた。

出来ることならばAを危険な目になど合わせたくなかった。

ただ、Aは本気だった。

だから、Aに水の呼吸を、教えた。

だが、Aはいくら訓練をしても水の呼吸を会得しなかった。

そんな時にAに血鬼術があることを知った。

鬼殺隊だと言うのに、

柱だったと言うのに

あの子を殺す気にはなれなかった。

無邪気に笑っていたあの子を

真剣な眼差しで、『呼吸を教えて欲しい』と言ったあの子を

鬼殺隊になりたいと願ったあの子を

殺す気にはなれなかった。

どうしても守りたかった…

あの子を守るためには

危険な訓練をさせなければならなかった。

あの子には生まれ持った才能があった。

儂が呼吸を教えずとも、

あの子には"藤の呼吸"があった。

炭治郎と禰豆子を見ていると、

どうしてもAと重なってしまうのだ。

鬼の血を持っているAと

Aを、守ろうとしている義勇に…

どうして…→←全てに気付いたのは。

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