19 Chris side ページ29
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「まもなくでーす」
スタッフの声掛けにスタジオへ移動すると
そこには既にもう1人が準備をしていた
お、これはかなり…
「似合ってるじゃないか!」
『あ、ハイ…』
純白のドレスにゴージャスなベール
艶のあるれいかの黒髪はよく映えるな。綺麗だ
「俺はどうだ?」
『めっちゃ似合ってますよクリス』
これは妬かれても仕方がないだろう
「じゃあ本番始めまーす」
最後に衣装を整えて、れいかと向かい合うポージング
いつもは飄々としているのに珍しく目線が合わない
撮影に支障こそないが、俺の調子はそれじゃあ上がらねぇ
「3、2、1…」
バラの花束を構えて…渡す
そして台本通りに俺がれいかへ一言
王道でシンプルすぎるっ!
「世界で一番、愛してる」
監督「うーん、確認!」
何かパッとしない
インパクトがこう…無いというか
「もっとこうカメラを意識した方がいいのだろうか」
『いや、自然体の方がええんやないかと』
「自然体?」
『はい、意識せんで気楽にって事です。相手私ですしフランクな感じの方が現実味ありません?』
なるほどなぁ…意識しないか
ならお前も意識しないで、いつも通りでいて欲しい所だがな
…いつも通り…いつもお前に思っている様に…
監督「プロポーズだと思ってもう1回!」
なるほど
そういう事か
『プロポーズて……いつも通り私と話す感じでええですからねクリス』
「あぁ、わかってるさ」
監督「じゃあ本番!3、2、1…」
『…クリス?』
と、なかなかセリフを言わない俺を不安そうにれいかが小声で諭す
やっと、目が合ったなれいか
これを待ってたんだよ俺は
「俺と、結婚しようれいか」
『っ……ぇ?』
監督「はい!今のいい!これで行こう」
ははっ可愛いやつだな本当に
いつも通りにやってみたのさ
「どうだれいか?」
『はぁ……やられました。けどセリフ違うやないですか…それに名前』
「相手がれいかなんだから、仕方ないじゃないか」
意味わかるか?
なんて心配は不要か。その顔を見ればな
いつも通りに、俺がお前に想っている事
ただそれだけだぞ
「さぁ、今日は残業だぞれいか」
常に俺の近くにいてくれ
世界で一番愛してるぞ
薬指は…空けておいてくれ
No.1の花嫁にすると約束する
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作者名:ミタンダ | 作成日時:2023年9月4日 17時