39話 ページ39
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「時透無一郎!」
「え、A?」
人目はとっても気になるけれど。取り敢えず中等部まで勢いと勢いでやって来たA。
痛い。周りの目が痛い。
そもそも高等部の人間が中等部に来ること自体目立つというのに、更にはあの飛ぶ鳥を落とす勢いの人気を誇る無一郎の名前を(フルネームで)呼んだものだから注目の的と言っても過言ではない。
Aは周りの突き刺さる視線にぐっと堪えながら無一郎が来てくれるのを待った。
今日ばかりは炭治郎も空気を読んで渋りながらも一人で先に家に帰っていた。
『言っておくけどな!俺のAへの愛はマリアナ海溝よりも深くてエベレストよりも高くて太平洋よりも広くて(((以下略』
と言う言葉を残して。
無一郎はまさか自分のクラスにAがやって来るなんて微塵も想像していなかったものだから、驚きのあまり持っていた教科書を落としてしまった。
しかしはっと我に返ると慌てて鞄に荷物を詰め込み、Aの元に走って行った。
「えっと、なんで中等部に?てかフルネーム?」
「なんか…勝負の時はフルネームかなぁって。」
「勝負って…何それ。」
変なの、と無一郎は笑うと行こっか、と言ってAの手を引いた。
Aも流石にそこまで馬鹿ではないので無一郎に手を引かれるこの状態が周りの人達に見られることが何を意味するかはわかっていた。
まあ簡潔にまとめると、女 子 の 視 線 痛 す ぎ 。
突き刺さるような女子の視線に耐えれるほどの鋼のメンタルではないので無一郎に手を放すようにお願いする。
しかし無一郎はまるで周りに見せつけるかのようにその手を頑として放そうとはしなかった。
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「痛い痛い痛い痛い。」
「え、そんなに痛かった?」
「違う違う、突き刺さる女子の視線が…」
「女子って本当に大変だよね。」
「本当に女子って怖いよねぇ。」
「…Aも同じ女子だよ。」
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とく(プロフ) - すごくいいお話でした…。涙が出るほど(笑) (7月19日 12時) (レス) id: 72e740ca3a (このIDを非表示/違反報告)
えむえいか - 貴方様は、神ですか? (2022年5月20日 16時) (レス) @page5 id: 6c61bb4c69 (このIDを非表示/違反報告)
孤 - 神作……… (2022年5月9日 15時) (レス) @page44 id: af8576bbe7 (このIDを非表示/違反報告)
ふぐひらめ - たまに………たまに原作を思い出すような描写があって……目から汗が……… (2021年12月5日 7時) (レス) @page50 id: f76242864c (このIDを非表示/違反報告)
夏鈴 - 炭治郎のシスコン具合がめっちゃ良かったです‼︎無一郎と有一郎がでて来るとか最高すぎます‼︎とっても良い作品ありがとうございますー! (2021年11月21日 22時) (レス) @page50 id: 378955c846 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白霞 | 作成日時:2020年6月13日 19時