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┄┄┄┄


『おぉー、お疲れ』


「ただレポート書いただけだろ」


可笑しそうに笑いながら
そいつもそっと窓の外を見た。


『…蝉うるさいね』


「声かれねぇのかな」


『声じゃないでしょあれ』


「え、違うの」


『羽震わせてるんじゃないの?』


「え、知らね」


『何でそんなことも知らないの』


「だって俺 蝉に興味ねえし」


『興味が無くてもそれ位は知ってるでしょ』


「知らねえよ」


『絶対モトキとかは知ってるよ』


「あいつは例外だろ」


『なんでよ』


「変わってるから」


『モトキのこと馬鹿にしてるでしょ』


「してない」


『モトキに言っちゃお』


「待てそれはやめろ」


『モトキに罰を受けろ』


「あいつの罰えぐいからやめて」


『えー、じゃあ帰りにガリガリ君1本』


「なんでそうなるんだよ」


『いいじゃん、暑いんだもん』


「じゃあコンビニまでダッシュな」


『え、なんで』


「運動したあとの方がアイスは美味いから」


『馬鹿なんじゃないの?』


「お前よりは馬鹿じゃねえよ」


『蝉の事もしらないシルクの方が馬鹿だよ』


「うるせー」


何気ないそんなちっぽけな会話が
私を笑顔にさせてくれる。
それにつられて、あいつも笑ってくれる。


我ながら、かなり青春だと思う。



『ねえシルク』


「なんだよ」


『幸せ、だね』


柄にもなく、そんな事を言ってみたくなった。
多分それは、清々しい程真っ青な
空のせいだと思う。


「…馬鹿じゃねえの」


そういってまたデコピンをする。
さっきよりも優しく、痛くないデコピンを。


痛いよ、シルク。
そう言おうとした時、


「……幸せ、だな」


そっぽを向いてしまった彼は
野球部の声にかき消されてしまうほど
小さな声でそう言った。


『……、っふ、ふふふっ』


「なんだよ、笑うなよ」


『ごめん、ふふ、無理っ、』


耳まで真っ赤なそいつを見て
思わず笑いが零れる。
うぜー、と照れ笑いをするそいつの手が
私の手首を掴み、ぐいっと引っ張る。


『っ、わっちょ、あぶな……、』


そこにいるだけで汗が落ちる、炎天下の中。
私たちの青春の場所、教室の隅。
風に揺られるカーテンの中で、



私達は、静かにキスをした。



『……ねぇ、今幸せ?』



悪戯に笑う彼に、真っ赤に染まった顔は
絶対に見せたくない。





┄┄┄┄



(( 顔真っ赤じゃん ))


((うるさい、黙れタラコ))


((…俺は幸せだよ))


((…、私も。))


┄┄┄┄

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作者名:たま | 作成日時:2017年6月15日 22時

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