出所してから愛が重い…！！【灰谷兄弟】

33_兄弟喧嘩 ページ35

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「兄ちゃんストップ。飯できた」




SOSの私の声が聞こえたのか竜胆が寝室のドアの方からそうこちらに話しかけてきた


嬉しがる私とは反対に二人はお互いにピリピリしていた


なんか睨み合ってるけど大丈夫？


あと、蘭は私の服の中に入れてる手を早く退けてほしい



「空気読めよ竜胆。お取り込み中なんだよこっちは」

「は？我慢するとか言ってたのはどの口だよ」




いつもなら絶対喧嘩に至らない、そんな小さなきっかけなのに今日はどっちも虫の居所が悪いんだろう


流石に空気が悪すぎて中に入ろうとしたが、私に二人の険悪な今の雰囲気を止められる方法は持ち合わせていない


どうしたもんかと悩む私を置いて二人は口論を続ける


竜胆は蘭の狡さについて


蘭は竜胆のヘタレについて


いつも通りのその口論の内容に私は頭を抱えてしまった



『もう学校に行こう？竜胆！ほら、竜胆の作ってくれた美味しい料理食べよう蘭！』



なんとか二人にそう持ちかけるも睨み合ったまま


ガチ喧嘩じゃん、私を間にするとか本当にやめてよね


とか思ってたら蘭が私の腰に手を回して蘭の方に惹かれた



「竜胆の料理はもちろん美味しいに決まってんだろ」



耳元で囁くのやめてって


色っぽい声をしている蘭の声に顔を赤くしてると今度は腕を引かれ竜胆に肩に手を回された



「兄ちゃんのそういうかっこいいところ嫌い」



ん？


本当にこれ喧嘩の最中？


お互いの惚気聞いてる気になるんだけどこれ


独特な喧嘩だね、喧嘩してるのに相手のことを褒めるのなんて


そう思って目の前の蘭をふと見ると口元と肩を少し揺らしてるのが見えた



『え、もしかして嘘？』



おかしいと思ったんだよ


あんなに仲良い二人が喧嘩なんて


どうして嘘喧嘩をしたのかはわからないけど、本当の喧嘩じゃなくてよかった


流石に同じ家にいるのに喧嘩したままの最悪な雰囲気があるとか居心地悪いしね



「オマエ、間抜けなツラしすぎ。笑い堪えるの大変だったんだからな？」

「兄ちゃん耐えられてねぇけどな」



腹を抱えて笑う蘭と蘭ほどではないが少し笑う竜胆


二人で私を揶揄ってたなんてひどいな


こっちは心配したっていうのに


竜胆に組まれてた肩から逃れて一人でベッドにまた寝転がり布団を頭まで被った


二人とは少し口きかないもんね


やっぱり二人が好きだから口をきかないのは少しだけと意思が緩いのは許してほしいな







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