取り合い・揚げ鳥様リクエスト ページ27
『あ、安吾さん』
「ん?」
「ああ」
織田作さんと太宰さんの三人で歩いていた処、珍しく一人で歩いていた安吾さんと出会った。
「……どうも」
安吾さんは素っ気なく返す。太宰さんが少し眉根を寄せた。
三人の間には、未だ少し確執が残っている。私が生きていたとは云え、一度空いた溝は、そう簡単に埋まるモノではない。
まあ別に私には関係ないけどね!そういうの全くもって気にならない派だから私!
『安吾さん、どうかしたんですか?』
「いえ、別に……偶々通り掛かっただけですよ、凪さん」
そう云ってふわりと微笑む安吾さん。未だこの笑顔には慣れない。寧ろ慣れる人がいたら教えて欲しいぐらいだ。
すると太宰さんが私を引っ張り、頭に顎を乗せた。
重いんですけど。
「結果的に凪ちゃんを危うく死なせる処だったのに、よくのうのうと話せるねえ、安吾」
そのあからさまに当て擦りのような物云いに、安吾さんの顔が少し歪む。
「……僕だって、別に赦されたいなどと傲慢な考えは持っていませんよ。ですが、」
安吾さんが私の手を取り、引っ張る。そして私の手に恭しく口付けをした。
顔が真っ赤になるのが自分でも判る。でも仕方ないと思う。
「簡単に渡す気など、毛頭ありません。お忘れなく」
「……チッ、」
太宰さんが舌打ちする。……え、如何にかしろって?この二人に間に立てる人間なんていると思う?
笑顔で激しい舌戦を繰り広げる二人。もう何も云えない。曖昧に笑っとくに限る。
「凪、大丈夫か」
そう云ってさり気無く私を脱出させてくれた織田作さん。ありがとう御座います!
『何かお二人が怖いです』
「そうか。まあ仕方がないと思うが」
何が仕方がないのだろう。
すると織田作さんはそうだ、と云い、私に向き直った。それから先程安吾さんが取った手とは反対の手を取る。
「安吾がやったんだから、俺もいいよな」
何が、と云う前にキスを手の甲に落とした。そのままぺろっと舐める。
『え、ちょっ!?』
慌てて手を引っ込める。織田作さんは何故か残念そうな顔をした。
「お〜だ〜さ〜くぅ〜?何してんのぉ?」
「勝手に何を……!」
「あ、いや」
何時の間にか二人が此方に来ていた。織田作さんはしまった、という顔をする。
……うん、あのさ、取り敢えずこういうの止めてくんないかな。
普通に死ぬ。こんな調子でやられたら心臓が爆発する。寧ろまだしてない私を誰か誉めて。
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白夜の世界 - 2次元大好き野郎さん» コメントありがとう御座いますッ!最高でしたか!よかった!何かちょっとリクと違うかなって思ってたんですけど……嬉しいです! (2019年7月7日 20時) (レス) id: d483191461 (このIDを非表示/違反報告)
2次元大好き野郎 - コメント遅れてしまってすいません!まじ最高です! (2019年7月7日 10時) (レス) id: 6de8be71fd (このIDを非表示/違反報告)
白夜の世界 - オンさん» 応援ありがとう御座います……!更新頑張ります!遅いけど!出来るだけ!遅いけど! (2019年7月6日 21時) (レス) id: d483191461 (このIDを非表示/違反報告)
わたあめ(プロフ) - 白夜の世界さん» はい!大丈夫です! (2019年7月6日 21時) (レス) id: b4cdd55349 (このIDを非表示/違反報告)
白夜の世界 - わたあめさん» は、はい!難しそうですが、頑張ります!太宰さんと太宰さん(黒の時代)逢わせちゃってもいいですか? (2019年7月6日 21時) (レス) id: d483191461 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白夜の世界 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/nisui03101/
作成日時:2019年4月7日 16時