温もり71 ページ21
これも夢なのだろうか。
ううん、確かにこれは現実だ。
「はぁ……」
唇が離れるとまた、お互いに見つめあった。
オロチさんは私をそっと抱きしめた。
「……ねぇ、やっぱりこれってキスマークであってるの?」
「……すまない」
オロチさんは背中をぽんぽんと叩いた。
「……どういうつもりでやったの? オロチさんなに考えてるかよくわかんない」
「……今の行為で分からないのか」
オロチさんは私の唇に触れた。
その手は少し震えていた。
「……言葉にしないとわかんない。オロチさんの行為が親の感情の好意なのか恋愛感情の好意なのか……」
オロチさんは抱きしめたまま私をベッドの方へ誘導させた。
壁に背中があたった。
オロチさんは私の両手を掴み、言葉を発する。
だけど口が動くばかりで声としては認識出来ない。
「……手痛い」
オロチさんはすぐに手を離した。
「……妖怪と人間がそういう関係って反対?」
「……やはり難しいことだ。住む世界が少し違う。死ぬまで共に居ることも保証できないうえに、もし死ぬまで共に居れたとしても私は忘れられずまだ存在し続ける……」
よく考えてみればそうだった。
人間は生きているけれど妖怪は生きていない。
人間はいずれ死ぬ。
だけど妖怪は人間と同じように死ぬことができない。
ずっと背負い続けなければならない。
「私、死なないよ。死んでも妖怪になるから……。そしたら死んでもずっとオロチさんと居れるよ……? 私だって怖いけれど……なにもしないまま終わる方が怖いよ……」
オロチさんは私をぎゅっと優しく、強く抱きしめ耳元で"好き"だと伝えた。
親の感情ではなく、"恋愛感情"だということを……。
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ぐりーん(プロフ) - もうこれ何度見返しても涙…好きすぎる( ; ; ) (2022年1月16日 16時) (レス) id: c2e222939c (このIDを非表示/違反報告)
いちご - 感動しました、、、 (2020年4月16日 19時) (レス) id: be295054f5 (このIDを非表示/違反報告)
黒咲優乃 - これ絶対誰でも泣きますよ...感動&少し切ない...良い物語ですね。何年、もしかしたら、何十年か後、主人公がオロチ達とまた再開出来たら良いなぁと思いました (2018年12月25日 0時) (レス) id: c26dd69b91 (このIDを非表示/違反報告)
奈乃 - 泣いちゃいました! (2017年11月19日 12時) (レス) id: e19d1310b2 (このIDを非表示/違反報告)
彩花 - 感動してに泣きました。 (2017年6月5日 19時) (レス) id: 463cc6db15 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:剣城京菜 | 作成日時:2016年3月3日 16時