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八 見ている理由 ページ8

「まま、何のお話?」


「お泊りのお話」


桜は首を傾げて分かんない、と言った。


「いつも私とぱぱとまぁくんとねんねするでしょ。じゃなくてまぁくんと2人だけで別の所でねんねするの。ままとぱぱが居なくても、晴愛さんのお部屋でねんねできる?」


「はるめ?」


晴愛さんがいつもより沢山遊んでくれるよと言うと桜は嬉しそうに頷いた。


「できる‼」


一切ぐずることなく受け入れた桜に寂しさを覚える。

桜は晴愛さんに何をして遊んでくれるか甘え始めた。


「えぇ、A。そんな顔しないでよ……」


晴愛さんは少し引き気味に私の顔を覗き込んだ。

少しくらいぐずられたかったな、としょんぼりしていると後ろから肩を叩かれた。


「ままは僕が居なくなったら嬉しくなるの?」


振り返ると信が泣きそうな顔で私の顔を見つめた。


「信、そんなことを思うはずがないだろう‼」


オロチさんは信の両肩を掴んで揺らした。


「だ、だってまま悲しいと怪我する……」


信は私の左肩を指さした。


「ままは痛いのがあると怪我する。僕、ずっと見てたの。お空から桜と見てた。だからままが痛くならないように助けてあげないといけないの」


信はそう言って以前私の左肩に刻まれていた傷跡を着物の上からなぞった。

傷跡がどこからどこまであるか知らないはずなのに、なぞったあとは正確だった。


「──信、こっちに来て。ちゃんとままの目を見て」


私は信の両手を掴んで強く引き寄せた。

合わない目をじっと見つめる。

少しして視線が何度か合うようになる。


「信がままのこといつも見ていてくれていたの知ってるよ。怪我を治してくれていたのも気づいてる。こんなにままのことを想ってくれているのに居なくなって嬉しいなんて思うはずがないよ。ままは信のこと大好きだよ」


「……僕が居なかったらまま怪我したらどうするの?ままが居なくなるの嫌……」


ぽろぽろと涙を溢す信の片手をオロチさんはぎゅっと握った。


「信、私がいる。信が居ない時は私が責任を持ってAを守ろう。だから私が居ない時は信にAを任せてもいいか」


信はぐっと涙を堪えて深く頷いた。


「ありがとう、まぁくん。大好きだよ」

九 小さくなったもの→←七 不貞腐れ



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剣城京菜(プロフ) - yukiさん» ありがとうございます!!完結編を投稿したので、よろしくお願いします!! (2019年10月20日 11時) (レス) id: 6021a386db (このIDを非表示/違反報告)
yuki - 番外編もすごく素敵でした!!続編楽しみにしてます。頑張ってください! (2019年10月14日 23時) (レス) id: f5a4951e98 (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - れるれる(現.本垢)さん» 初めまして!!そう言っていただけてとても嬉しいです!!新作も今書いているので、次回作も読んでくださると嬉しいです!! (2019年9月25日 19時) (レス) id: 6021a386db (このIDを非表示/違反報告)
れるれる(現.本垢)(プロフ) - 初めまして。この作品、すごく好きです。妖ウォを卒業しても剣城さんの作品だけはずっと見てるんです(笑)これからも更新頑張って下さい。 (2019年9月24日 21時) (レス) id: bb493c8f2f (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - なつさん» 期間が空いてしまったので勘違いさせてしまいました……!!ゆっくりでも完結までは投稿するので安心してください!! (2019年9月24日 18時) (レス) id: 6021a386db (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:剣城京菜 | 作成日時:2019年9月23日 0時

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