十二 変わらない場所 ページ12
当日の朝のこと。
「かばんの中にお着替えとお手紙入ってるからね。お手紙は寝る前に読むんだよ。困ったら晴愛さんに必ず相談すること。あとは……屋敷の方たちに迷惑をかけないこと。あとは……何かあったっけ」
隣に居たオロチさんに尋ねるとオロチさんは2人の頭を強く撫でた。
「……楽しんでこい。また明日の夕方に迎えにいく」
2人は頷いて晴愛さんと手を繋いで一緒に屋敷の方へ行ってしまった。
途中振り返った2人に大きく手を振り、姿が見えなくなるまで私たちはずっと見守り続けた。
ついに見えなくなってしまうと私たちは家の前のベンチに座った。
「今何してるかな……」
「まだ屋敷にすら着いて居ない」
これからどうしようかと話していると風に流され、桜の香りが香ってきた。
「……そう言えば今人間界はもう桜が咲いてる頃だ。久しく人間界に行ってみるか」
「──いいね。行こう」
私たちは立ち上がり、人間界へ続く道のある門へ向かった。
妖怪エレベーターに入り移動中、暗い中で私は少しだけオロチさんに寄った。
手が少しだけ触れると離れるのを繰り返し、指先が私の手の甲に触れるとその手は私の指をぎこちなく絡め取った。
「オロチさん……いいの?」
オロチさんは一瞬だけ横目で私の顔を盗み見た。
「……今日だけ特別だ」
「あ、ありがとう……。嬉しい……」
ぎゅっと握るとオロチさんは更に強く握り返してくれた。
妖怪エレベーターが開き、人間界に出ると暖かな陽射しが私たちをぽかぽかと温めた。
「街並み、変わっちゃった……」
私が知っている街とはだいぶ雰囲気が変わってしまった。
「よく見れば昔と変わらない場所もある」
オロチさんに手を引かれ、おおもり山を降りると住宅街の方へ歩き出した。
「──ぁ、いい匂い」
焼きたてのパンの香りが風に乗って微かに香ってきた。
昔から何度も嗅いだことのある香りだ。
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剣城京菜(プロフ) - yukiさん» ありがとうございます!!完結編を投稿したので、よろしくお願いします!! (2019年10月20日 11時) (レス) id: 6021a386db (このIDを非表示/違反報告)
yuki - 番外編もすごく素敵でした!!続編楽しみにしてます。頑張ってください! (2019年10月14日 23時) (レス) id: f5a4951e98 (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - れるれる(現.本垢)さん» 初めまして!!そう言っていただけてとても嬉しいです!!新作も今書いているので、次回作も読んでくださると嬉しいです!! (2019年9月25日 19時) (レス) id: 6021a386db (このIDを非表示/違反報告)
れるれる(現.本垢)(プロフ) - 初めまして。この作品、すごく好きです。妖ウォを卒業しても剣城さんの作品だけはずっと見てるんです(笑)これからも更新頑張って下さい。 (2019年9月24日 21時) (レス) id: bb493c8f2f (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - なつさん» 期間が空いてしまったので勘違いさせてしまいました……!!ゆっくりでも完結までは投稿するので安心してください!! (2019年9月24日 18時) (レス) id: 6021a386db (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:剣城京菜 | 作成日時:2019年9月23日 0時