さくらの営み ─温かい場所─【オロチ】

二 真っ赤 ページ2

私とオロチさんの結婚式を挙げてから数年後、桜と信はすくすくと育ち5歳になった。

言葉も年相応に使えるし、勿論歩くことも走ることもできる。

桜は赤ん坊の頃からのやんちゃ加減にさらに拍車がかかり、男子顔負けの身体能力で私たちを困らせた。

かといってオロチさんにはまさるのでどうにかはなっている。

信は赤ん坊の頃の人見知りは殆どなくなったものの、桜とは正反対の慎重派で口数も少なく人に流されやすい。

2人は常に一緒に居て、互いのいいところと悪いところを補い合え、いい具合につりあってはいるようだ。


「……」


目を覚ますとオロチさんも起きたばかりのところだった。

子どもたちはまだすやすやと眠っている。

静かに布団から出て2人の寝顔を見守っているとオロチさんは私の腕を掴んでそっと引き寄せた。


「オロチさん……」


触れそうになる唇に熱を覚える。

あと1センチのところで視線を感じた。


「よ、よぅちゃ……」


「ちゅーするの？」


桜はらんらんとした目で私とオロチさんの顔を交互に見た。


「……桜、ママとパパがラブラブな時は見ないふり、知らないふりするって一昨日約束した」


信は桜の目と口を塞いで寝たふりをした。


「お、おお、オロチさん……っっ⁉」


顔をあげるとオロチさんは顔をかつてないほどに真っ赤にして震えていた。

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