さくらの営み ─誓い─【オロチ】 (ページ15)

今日:21 hit、昨日:3 hit、合計:21,523 hit

十五ヒカリかページ15

叱られてようやく本題を切り出す。

「えっと、聞きたいのは元桜神が住んでいた場所のことなんだけど。それってどこにある……？」

「それはAが入り口を作り出すんだよ。Aが願えばさくらの世界はどこにでも現れる」

元桜神の住んでいた場所をそのまま創造するのなら住む家もあり、寧ろ好都合なことのほうが多いようだ。

となれば一度そこへ行こうかということで私たちは外へ出た。

「でもどこにつくる……？」

「この屋敷の裏が1番いいだろう」

オロチさんと晴愛さんを連れ、屋敷の裏へ来た。

武道場は平和が訪れてから建て直して、それからはまたいろんな妖怪が来ている。

今日もそこには誰かが居るようだ。

オロチさんは武道場の方をじっと睨んでいる。

何かあるのか視線の先を追ってみると武道場から誰かが出てきた。

「ぁっ、ヒカリオロチさん……」

それはヒカリオロチさんだった。

会うのは約3ヶ月前になる。

ヒカリオロチさんもあの日人間界と妖魔界の為に戦っていた1人だった。

「久しぶりだなっ」

ヒカリオロチさんは相変わらず眩しい笑顔を振りまく。

軽い足取りで私のところへ駆け寄るとヒカリオロチさんは私とオロチさんの顔を見比べた。

オロチさんは今にも噛みつきそうな顔で私の前に立った。

「オロチには関係ないだろうっっ。Aはオレのヒカリなんだっ‼」

ヒカリオロチさんは私と目を合わそうと何度も背後を取ろうと回り込んだが、そのたびにオロチさんが立ちふさがった。

「……一体オロチはAの何なんだ？」

するとオロチさんは突然私の両耳を塞いだ。

すぐに離して貰えたが、オロチさんが何を言ったのかは分からずヒカリオロチさんは腹を抱えて笑っていた。

ヒカリオロチさんにからかわれていたことに気づいたオロチさんは更に不機嫌な顔になっていた。

「奪うつもりなどはない。………ああ、しかしオロチがここまで惚れるとは思いもしなかったなっっ。影オロチにも報告してこようっっ‼」

ヒカリオロチさんはそう言って物凄い速さで去っていってしまった。

「……オロチさんなんて言ったの」

オロチさんは何も言わず顔を見られないように私を抱きしめていた。