検索窓
今日:1 hit、昨日:15 hit、合計:26,320 hit

二百四十 月明かりの下で ページ40

「……礼を言うのは私の方だ」


オロチさんは口ごもる私の頭を優しく撫でた。


「Aがつけてくれるか」


「わ、私……?……分かりました」


私はオロチさんの手のひらからピアスを外し、手を伸ばした。

片手で髪を耳にかけ、耳元を弄る。

暗くてよく見えない。

オロチさんはずっと黙っている。

表情がみえないからより一層焦ってしまう。

するとさっきまで隠れていた月がぼんやりと地上を照らした。


「……‼」


隠した表情が顕になり、私は目が離せなかった。


「……そんなに見るな」


オロチさんは恥ずかしそうに目をそらした。

我に返り両耳にピアスをつけるとそれは思ったとおり、オロチさんと同じ瞳の色をしていた。


「……似合っているだろうか」


「──……とっても綺麗です」


オロチさんは私の髪を耳にかけ、指先で耳の形をなぞった。

その手は耳の下から首筋、腕を撫で手のひら同士が合わさると優しく握りそっと引き寄せた。

金色の瞳には月明かりと私の瞳が映り込む。

静かに目を閉じると唇に柔らかな感触を押し付けられる。

すぐに唇は離され、目をそっと開けると視線が交わる。

まるで映画のワンシーンのようだった。

心の中に渦めいた言葉が今までの理解できなかった感情を取り巻き、紡ぎ出す。

オロチさんの特別でありたいとそう気づき、それがどういう感情であるかようやく答えに辿り着いた。

この感情はきっと……。

特別の"好き"だ──……。

二百四十一 稽古→←二百三十九 違う目線



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.7/10 (29 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
28人がお気に入り
設定タグ:妖怪ウォッチ , オロチ , 剣城京菜   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

剣城京菜(プロフ) - aruya100さん» ありがとうございます!!頑張ります!! (2019年2月8日 9時) (レス) id: 6021a386db (このIDを非表示/違反報告)
aruya100(プロフ) - いつも見させていただいてます。更新頑張ってください!期待してます! (2019年2月4日 23時) (レス) id: b60ccdc28b (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - yukiさん» ありがとうございます!!頑張ります!! (2019年1月30日 19時) (レス) id: 6021a386db (このIDを非表示/違反報告)
yuki - 作品楽しませていただいてます。続き頑張って下さい! (2019年1月30日 8時) (レス) id: 01053ecf80 (このIDを非表示/違反報告)
紅桜(プロフ) - 剣城京菜さん» 頑張ります...! (2019年1月23日 19時) (レス) id: 84fb339dd8 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:剣城京菜 | 作成日時:2019年1月21日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。