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二百二十三 冷たさと重み ページ23

パタパタと廊下を走っているとオロチさんがあとから追いかけてきた。


「……‼」


目の前に立たれ私は慌てて足を止める。

その反動で体だけ前に出る。

オロチさんは私の両手をがっしりと掴んだ。


「み、みちゃ駄目……」


今顔を見られてはきっと変だと思われる。

恥ずかしいばかりで上手く逃れる言葉も見つからない。

ただ俯いたり顔をそらしたりすることに必死に隠そうとした。


「A……」


私の名前を呟いた時、外からざわめいた声が聞こえだした。

オロチさんは私の手を離し扉の奥をじっと見つめた。


「……行くぞ」


オロチさんは私の手を握って急ぎ足で外に向かった。

扉を開けてざわめきの正体に私たちは目を見開いた。

妖怪たちは道の真ん中を避け、そこを歩く者に怯えた目を向ける。

歩く者は足をずるずると引きずり、歩いたあとに黒い斑点を残す。


「……黒雨」


私たちは階段を駆け下り立ち止まる。

黒雨は息苦しそうに咳をする。


「ひ、め……」


ついに力尽きたか、黒雨はその場に倒れ込んだまま動かなくなった。

私は動かなくなってしまった黒雨の元へ駆け寄った。

だけど目の前に杖がかざされ、驚いた私は尻もちをついた。

目の前に立ちはだかったのはぬらりひょんさんだった。


「……瀕死の敵に何をする」


「それは……っ」


ぬらりひょんさんは杖の先を私の額に当てた。


「どうして……どうしたら俺は……」


かすれた声で黒雨が呟く。


「……助けたい。たったそれだけ、です」


「貴様……反逆を起こすというのか。神と言えど所詮子ども。やはり頼るのが間違いであった」


ぷつり、と目の前の光景が途切れた。

真っ暗な中で頬に異様な冷たさを感じた。

起きているのに視界は見えない。

手も足も重い。

この冷たさも重みも一度私は経験をしている。

ぱしゃん、と水たまりを踏んだような音が聞こえた。


「A……」

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設定タグ:妖怪ウォッチ , オロチ , 剣城京菜   
作品ジャンル:アニメ
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剣城京菜(プロフ) - aruya100さん» ありがとうございます!!頑張ります!! (2019年2月8日 9時) (レス) id: 6021a386db (このIDを非表示/違反報告)
aruya100(プロフ) - いつも見させていただいてます。更新頑張ってください!期待してます! (2019年2月4日 23時) (レス) id: b60ccdc28b (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - yukiさん» ありがとうございます!!頑張ります!! (2019年1月30日 19時) (レス) id: 6021a386db (このIDを非表示/違反報告)
yuki - 作品楽しませていただいてます。続き頑張って下さい! (2019年1月30日 8時) (レス) id: 01053ecf80 (このIDを非表示/違反報告)
紅桜(プロフ) - 剣城京菜さん» 頑張ります...! (2019年1月23日 19時) (レス) id: 84fb339dd8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:剣城京菜 | 作成日時:2019年1月21日 21時

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