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二百十三 鉢合わせ ページ13

無視して歩き出すと男の子は私を追いかけ背中を殴ってきた。


「痛いんだけど」


私は男の子を抱き上げ屋敷に向かった。

屋敷が見えてきた頃、私はこれ以上屋敷に近づけないと悟った。

屋敷の前にはオロチさんがいたのだ。

私が居なくなったのに気づいてしまったのかはわからないが、今出会う訳にはいかない。


「どこにいくんだよ‼」


男の子は私に抱き上げられながら暴言ばかり吐き続ける。

さて、これからどうしたものか。

無理矢理にでも家に帰してあげるのがいいのかも知れない。

とはいえこう簡単に迷い込まれては人間界と妖魔界を繋ぐ道をどうにかしなければならない。

それは後にするとして、今はこの子をどうするかだ。

見た感じ低学年位なのは分かった。

生意気な口ばかり叩いてもとても怯えているのが伝わってくる。


「やっぱり家に帰ろう」


男の子は黙って首を横に振る。

どうしたらいいのか途方に暮れていると肩を叩かれた。

振り向くとそこに居たのはえんらえんらさんだった。


「あらあら、いつの間にそんな大きな子どもを産んだのかしら〜」


「……迷い込んだみたいなんですけど、家にも帰りたがらなくて」


えんらえんらさんは男の子の顔を覗き込んだが、男の子は私を突き放し離れてしまった。


「あら〜……驚かせるつもりはなかったのよ〜」


「お、驚いてなんかないし‼」


どこかに逃げるつもりはないようだ。

これからどうしたいか問うと男の子はまた黙り込み、変わりに大きな腹の虫を鳴かせた。


「もうすぐ3時だしおやつでも食べましょう〜」


えんらえんらさんの提案により、私たちは甘味処へ入った。

ケーキを1つずつ頼み、運ばれて来たが男の子は手をつけずに私の顔を睨みつけていた。


「毒なんて入ってないわよ〜」


えんらえんらさんは自分のを美味しそうに食べて見せるが、男の子はふいとそっぽをむく。


「……食べても大丈夫。美味しいよ」


私は自分のをフォークで一口刺し、男の子の口元に持っていった。


「信用できるかよ‼もう構うな……っっ」


男の子は私の手を強くぶって外に飛び出してしまった。

私の手から外れてしまったフォークは落ちてカランカランと音をたてた。

その言葉が私と重なる。


「Aちゃん、早く追いかけてあげた方がいいわ〜」


私は席を立ち急いで外に出た。

のれんを交わした瞬間、誰かと思い切りぶつかってしまった。


「す、すみませ……」


顔をあげて私は硬直した。


「お、オロチさん……」

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設定タグ:妖怪ウォッチ , オロチ , 剣城京菜   
作品ジャンル:アニメ
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剣城京菜(プロフ) - aruya100さん» ありがとうございます!!頑張ります!! (2019年2月8日 9時) (レス) id: 6021a386db (このIDを非表示/違反報告)
aruya100(プロフ) - いつも見させていただいてます。更新頑張ってください!期待してます! (2019年2月4日 23時) (レス) id: b60ccdc28b (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - yukiさん» ありがとうございます!!頑張ります!! (2019年1月30日 19時) (レス) id: 6021a386db (このIDを非表示/違反報告)
yuki - 作品楽しませていただいてます。続き頑張って下さい! (2019年1月30日 8時) (レス) id: 01053ecf80 (このIDを非表示/違反報告)
紅桜(プロフ) - 剣城京菜さん» 頑張ります...! (2019年1月23日 19時) (レス) id: 84fb339dd8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:剣城京菜 | 作成日時:2019年1月21日 21時

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