二百十一 迷子探し ページ11
手当たり次第に見つけたお店を見て回ってみたがいまいちピンとくるものはなかった。
足も疲れ通りの少ない路地裏でしゃがんでいると、路地裏の奥の方から小学生位の男の子が目の前を横切った。
視界から消えるまで目で追っていたが、いざ視界から消えるとその男の子について疑問が浮かび上がった。
それはここにいるべきではない存在かということだった。
私の目には普通の人の子どものように見えた。
追いかけ表通りに出ると既に姿は見えなくなっていた。
あちこち探してみたがどこにも居ない。
「わ……っっ」
前をきちんと見ておらず、正面からきた妖怪と思い切りぶつかってしまった。
勢いよくというわけではなかったが、反発性のある体で私はどしん、と尻もちをついてしまった。
顔をあげて見覚えのある顔ぶれに
「……ぁ」
と小さく声が出た。
「あっ、久しぶりガル」
それは以前私が外で倒れた時に助けてくれたあつガルルさんと、メラメライオンさんと、のぼせトンマンさんとあせっか鬼さんだった。
「次いつ雑誌に出るカッポーン?」
「も、もう出ないですよ……」
立ち上がって着物についた砂を手で払い落とした。
「ぶつかってすみませんでした。お怪我はありませんか」
「僕は全然平気だけど……何かあったの?」
あせっか鬼さんは流れる汗を拭きながら私に聞いてきた。
「実は今、そこの路地裏から人間の男の子の様な子を見かけて……。だとしたら早く見つけてあげないといけないと思いまして……」
4人は顔を見合わせ、自分は見ていないと首を横に振った。
だけどメラメライオンさんだけは違った。
「メラ‼メラメラ‼」
向こうの方を指差し何かを訴えかける。
「向こうに行ったのを見かけたって言ってるガル‼ここのあたりは前より安全になったからいいガルが、まだまだ油断はできないガル‼」
「そう、ですか……。ありがとうございます。ではまた」
私は深々と頭を下げ、メラメライオンさんが指差し方へ急いだ。
「……‼」
時計塔の前にうずくまる人影が1つ。
それは先程の男の子だった。
肩に触れようとしたらその男の子は私の手を強くぶった。
「ち、近寄るな……っっ‼」
男の子は更に私を突き飛ばすと走り出した。
だけどすぐ石に躓き、派手に転んでしまった。
男の子は起き上がることはなく、動くこともなかった。
そっと近づき、肩を掴んで体をひっくり返した。
あまりにも怯えた目に私は触れていた手を引っ込めた。
「し、にたくない……‼」
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剣城京菜(プロフ) - aruya100さん» ありがとうございます!!頑張ります!! (2019年2月8日 9時) (レス) id: 6021a386db (このIDを非表示/違反報告)
aruya100(プロフ) - いつも見させていただいてます。更新頑張ってください!期待してます! (2019年2月4日 23時) (レス) id: b60ccdc28b (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - yukiさん» ありがとうございます!!頑張ります!! (2019年1月30日 19時) (レス) id: 6021a386db (このIDを非表示/違反報告)
yuki - 作品楽しませていただいてます。続き頑張って下さい! (2019年1月30日 8時) (レス) id: 01053ecf80 (このIDを非表示/違反報告)
紅桜(プロフ) - 剣城京菜さん» 頑張ります...! (2019年1月23日 19時) (レス) id: 84fb339dd8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:剣城京菜 | 作成日時:2019年1月21日 21時