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二百一 たった1つの ページ1

私の願いはたった1つ。

受け入れられることだった。

求められるなら私はどんなことだってした。

炊事、洗濯、雑用。

時には手を血で汚した。

悔いはなかった。

だってそうすれば私を求めてくれる。

受け入れてくれるんだ。

それなのに私は何も嬉しいと思わなかった。

代わりに芽生えた感情は悲しみ。

上書きすれば良いんだと何度も何度も繰り返した。

だけどいつまで立っても空は晴れることはなかった。

ずっと雨、雨、雨。

気づけば自分が向かっていたものは求めるもとは近いようで真反対のものだった。

それでも私は確信のない未来に望んだ。

名無し子に求められるものは勝手の良い労働力。

満たされていたはずだった。

それなのに気づけば私は求められることを拒んでいた。

何かが違うと私の中で拒否反応を示していた。

あの日も土砂降りの雨だった。

音が雨によって消されるのは好都合だった。

いつものように血で汚した体を雨で流している時、私は決心をした。

ここから逃げてしまおうと。

そう考えているうちに背後から近づく2つの気配に気づくことなく、私は意識を手放した。

夢の中で幸せな生活を連想した。

誰にも指図されない自由。

求め、求められる関係を。

ずっと続けばいいのにと願っても、既に人としての過ちを犯してしまった私には叶わない夢だった。

目を覚ますと以前私が消した者の同族がこちらを蔑むように見下ろしていた。

私自身もついに消した奴らと同じところに行くのかと、心のない笑いをした。

何処かの山小屋の窓から外を見るとあいもあわらず土砂降りが続いていた。

血を何度も吐き、脇腹を押さえ死を待つ。


「あぁ、私も欲しかった──……」

二百二 雨→



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設定タグ:妖怪ウォッチ , オロチ , 剣城京菜   
作品ジャンル:アニメ
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剣城京菜(プロフ) - aruya100さん» ありがとうございます!!頑張ります!! (2019年2月8日 9時) (レス) id: 6021a386db (このIDを非表示/違反報告)
aruya100(プロフ) - いつも見させていただいてます。更新頑張ってください!期待してます! (2019年2月4日 23時) (レス) id: b60ccdc28b (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - yukiさん» ありがとうございます!!頑張ります!! (2019年1月30日 19時) (レス) id: 6021a386db (このIDを非表示/違反報告)
yuki - 作品楽しませていただいてます。続き頑張って下さい! (2019年1月30日 8時) (レス) id: 01053ecf80 (このIDを非表示/違反報告)
紅桜(プロフ) - 剣城京菜さん» 頑張ります...! (2019年1月23日 19時) (レス) id: 84fb339dd8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:剣城京菜 | 作成日時:2019年1月21日 21時

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