二百三十八 新しい名前 ページ38
お風呂から出て着物を着ていると足元にオロチさん宛のプレゼントが落ちた。
「それ、誰かにあげるの」
「ぇ……ぁ、……まぁ」
私が微妙な返事をするので滝雨さんは不思議な顔をしていた。
「渡し方が分からないんです。……もしかしたら迷惑かも、とかそういうの考えたら渡せなくなってしまって」
「……変なの、普通に渡せばいいのに。誰かから特別なものを貰うのって凄く嬉しいと思うし、羨ましいけど。……俺だって得別が欲しいのに、惜しむなんて贅沢だよ」
滝雨さんは足元に落ちたプレゼントを拾い、私の手の上に落とした。
「ねぇ、俺名前が欲しい。姫さまがくれた名前もいいけど、あなたが黒魔ではなく妖怪としての俺を受け入れてくれたこの一生を新しい名前で過ごしたいんだ」
「……名前?」
滝雨さんは頷いて私の目を覗き込んだ。
私は目を閉じ、いつかみた記憶と聞いた記憶を脳裏に混じあわせる。
「あなたにもう雨は必要ない。晴れた空はとても広く……それは自由と似ている。これからあなたが受け取るのは無償の愛でありますように……。晴れと愛……。"晴愛(はるめ)"なんて安直でしょうか」
すると滝雨さんはぼろぼろと涙を零し始めた。
「す、すみません……。名前をつけるなんて初めてのことで……変だったでしょうか……」
「変じゃない。凄く嬉しいんだ……」
手放しで泣く晴愛さんの背を撫でてあげると手加減なく中身が出そうな程に抱きしめられた。
「きっとオロチも喜んでくれると思う。名前、大事にするね」
「……ありがとう、晴愛さん」
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剣城京菜(プロフ) - aruya100さん» ありがとうございます!!頑張ります!! (2019年2月8日 9時) (レス) id: 6021a386db (このIDを非表示/違反報告)
aruya100(プロフ) - いつも見させていただいてます。更新頑張ってください!期待してます! (2019年2月4日 23時) (レス) id: b60ccdc28b (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - yukiさん» ありがとうございます!!頑張ります!! (2019年1月30日 19時) (レス) id: 6021a386db (このIDを非表示/違反報告)
yuki - 作品楽しませていただいてます。続き頑張って下さい! (2019年1月30日 8時) (レス) id: 01053ecf80 (このIDを非表示/違反報告)
紅桜(プロフ) - 剣城京菜さん» 頑張ります...! (2019年1月23日 19時) (レス) id: 84fb339dd8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:剣城京菜 | 作成日時:2019年1月21日 21時