さくらの営み 4【オロチ】 (ページ18)

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百六十八共通ページ18

木の幹を軽く叩きながら歩く。

「なぁ、考えてくれたか？２つの世界の為に生きるかどうか」

「……まだです」

ぴたりと足を止める。

「難しいことだよな」

「……そう、ですね。突拍子もないですし、そもそも私がそんな特別な力を受け継いだとか実感なんてわきません。荷も重すぎます……」

さらさらと風が吹き抜ける。

「……そうだよな」

紫色の空は青みが更に増し、夜の色へ変わっていく。

提灯に火が灯り、辺りをぼんやりと照らした。

「思い入れのないものって簡単に切り離せます」

握った手のひらを開くと桜の花が一房溢れた。

溢れた桜の花は風に舞い、月空へ消えていった。

「いくら親しくても離れるときは一瞬、どんなに恨んで拒否しても懲りずに憧れて求めるのも変わりはありません。どちらにも共通しています。私は人間界が嫌いでした。だけど同じくらい好きで……。それも、共通しています。……私妖魔界好きですよ」

「──……そうか。俺たち妖怪も本望だ。オロチが帰って来ないが今日は帰ろう。きっと明日帰ってくるさ」