さくらの営み １【オロチ】

三十八 事の始まり ページ38

今から18年前までのこと。

それまで人間界と妖魔界は繋がっていた。

それは世界だけではなく、人間と妖怪同士もそうであった。

ときに一方的な思いであり、双方の思いの一致もある。

2つの世界と2つの存在は必ずどこかで通じ合い、どこかで繋がり合っていた。

そして事の始まりは18年前。

突如人間界から大量の黒い魂が流れ込み、妖魔界を襲ったのだという。

勿論、妖怪たちは妖魔界と自分たちを守る為に立ち上がった。

だけど充分な戦力を持った妖怪の数と、無差別に暴れまわる黒魔の数とでは圧倒的にこちら側が不利だった。

次々に攻め込まれ、陣地をすり減らしていった。

暫く月日が立ち、ようやく黒魔の数が減りエンマ大王さまは屋敷を中心に、戦えぬ妖怪、怪我をした妖怪、戦力になる妖怪を集めた。

そして僅かな土地で妖怪たちを匿い、元の妖魔界に戻そうと作戦を練っては敵陣に乗り込んだ。

結果はほぼ全敗。

戦力になる妖怪を配置し、今の陣地を保つのが精一杯だった。

だけど最近になって陣地内で黒魔が現れるようになった。

地上にも上空にも見張りもつけている為、入り込むのは困難。

その原因が私が見つけた穴だった。

敵は土の中を通り陣地内に侵入していたのだという。

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