さくらの営み １【オロチ】

二十九 苦しいこと ページ29

これはきっと私だけじゃない出来事。

昔は誰とだって仲良くなれていた。

確かにそうだった。

誰しもが純粋だった。

友だちだったはずだ。

だけどある時私は友だちではなく、無差別に選ばれた標的となった。

ないことを囁かれ、私は一人になった。

友だちだと思っていた人が周りに流され、離れていく。

もしあの時、友だちだったはずの人たちが変わりなく接してくれていたら、私は今も変わらず誰とだって仲良くなれていた。

心を開いていた。

だけどもう遅い。

一度疑ってしまえばもう信用はできない。

苦しい。

だけどそれより苦しいのは私が誰かを選んでしまうこと。

されたことと同じことをすること。

するべきことを昔のせいにして見捨てること。

信じる恐怖を疑心にすりかえること。


「──……っっ」

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