百七十六 ページ26
私は首を横に振った。
オロチは頭をくしゃくしゃに撫でた。
私はずるりと頭を落とし、自分の頭をオロチの太ももへ乗せた。
「オロチといるとね、嬉しい。すっごく嬉しくなるの。幸せになるんだよ。……オロチはどうしたら幸せになれる?」
オロチの顔を見上げる。
オロチは優しい顔で私の頭を撫で続ける。
「そうだな。Aと同じだ。……意中の相手といて幸せにならない方がおかしいだろう」
段々と口ごもったオロチはマフラーで顔を隠してしまった。
「ねぇねぇ、意中って?どういう意味?」
私は体を起こしてオロチの顔を覗き込んだ。
「……んもう、いちゃいちゃするのもいいけれど私たちがいること忘れないで欲しいわ〜……ねぇ、親方様〜」
「いいではないか。えんらえんらも喜んでいただろう」
オロチはそっぽを向いてしまって頑なにこちらを見ようとしなかった。
「あの二人、お互い分かっててとぼけるんだからじれったいわ〜」
ふわりとえんらえんらが現れる。
「意中ってのは大好きな人って意味よ〜。しかも特別な意味の〜。恋愛感情なのよ〜」
えんらえんらが突然オロチの背中を強く押した。
「わ……っっ」
オロチがこちらへ倒れてきて私は支えきれず頭を地面にぶつけた。
目の前に見えたオロチの顔は見ていられない程に真っ赤っかだった。
こっちまで移った恥ずかしさを隠すように私はぎこちなくオロチに笑いかけた。
オロチは一度顔をそらしてしまったが、すぐに私よりぎこちない表情で笑いかけてくれた。
ああ、きっと……いや、これは絶対。
私たちは世界の誰よりも幸せを感じているんだ……。
「……大好き、だよ」
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剣城京菜(プロフ) - 奈乃さん» http://uranai.nosv.org/u.php/list/Take2241/ こちらのURLに飛んで貰えれば完結したものが全て入ってます!もしくは私の名前をタップかクリックして貰えれば見つかります! (2017年10月21日 23時) (レス) id: d8b1658e8e (このIDを非表示/違反報告)
奈乃 - どんな作品がありますか? 読んでみたいです! (2017年10月21日 23時) (レス) id: e19d1310b2 (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - 奈乃さん» 楽しんで頂けて良かったです!残念ながらこの作品の続編を作る予定はありませんが現在投稿中の作品も過去作品もありますので良かったらそちらも読んで頂けると嬉しいです(^^) (2017年10月21日 18時) (レス) id: d8b1658e8e (このIDを非表示/違反報告)
奈乃 - 面白かったです!続編見たいです (2017年10月21日 18時) (レス) id: e19d1310b2 (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - capeさん» ありがとうございます!今後も頑張りますっっ (2017年8月28日 17時) (レス) id: d8b1658e8e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:剣城京菜 | 作成日時:2017年8月2日 1時