百六十七 ページ17
部屋へ続く廊下を歩いていると私の部屋から大ガマが出てきた。
「よっ。邪魔してるぜ」
「……うん」
部屋に入ると私の足が一瞬止まった。
「……オロチ」
そこにいたのはオロチだった。
オロチは1ミリたりとも動かない。
ただ一点を見つめるだけ。
「……連れてきたのか」
土蜘蛛は大ガマにそう訪ねた。
私は壁際に避けられた小さなテーブルをオロチの前にどすん、と置く。
木の箱をテーブルに置いて私はオロチの隣に座った。
「……狭い」
そう言うとオロチはそこからどこうと立ち上がろうとした。
でも私は逃がさないようにオロチの腕を掴んだ。
「逃げる必要なんてないよ。オロチは何も悪いことしてない。……全部聞いてたんでしょ?ずっと悩んでいたんだよね。オロチのせいなんて全く思ってないよ。……あのときはびっくりしたけど、オロチがそういうことしないの知ってる」
私はオロチの髪をかきあげ、顔を覗き込んだ。
視線が混じり合い、私は確信になる。
「私がこんなことできるのオロチのおかげなんだよ。オロチ、凄く優しいよ。私、大好きだよ。だからもう自分のこと追い詰めないで……。だから……だから……」
言葉に詰まる代わりに涙が出てくる。
オロチは私の手を掴むと骨が砕けそうな程に強く強く抱きしめた。
「苦しい」
といいながらも私は悪い気もしず、寧ろオロチよりも強く抱きしめ返した。
「呑気に抱き合ってる場合ではないぞ」
土蜘蛛にそう言われようやく私もオロチも我に返る。
「あとそれと……オロチ約束破ったよね。また自分を犠牲にした。でも責めたりしないよ。代わりに私と一緒に向かい合って欲しいの。私と一緒に幸せになろうよ」
私は真っ直ぐにオロチの目を見つめた。
オロチは息をのみ、頷いた。
24人がお気に入り
「妖怪ウォッチ」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
剣城京菜(プロフ) - 奈乃さん» http://uranai.nosv.org/u.php/list/Take2241/ こちらのURLに飛んで貰えれば完結したものが全て入ってます!もしくは私の名前をタップかクリックして貰えれば見つかります! (2017年10月21日 23時) (レス) id: d8b1658e8e (このIDを非表示/違反報告)
奈乃 - どんな作品がありますか? 読んでみたいです! (2017年10月21日 23時) (レス) id: e19d1310b2 (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - 奈乃さん» 楽しんで頂けて良かったです!残念ながらこの作品の続編を作る予定はありませんが現在投稿中の作品も過去作品もありますので良かったらそちらも読んで頂けると嬉しいです(^^) (2017年10月21日 18時) (レス) id: d8b1658e8e (このIDを非表示/違反報告)
奈乃 - 面白かったです!続編見たいです (2017年10月21日 18時) (レス) id: e19d1310b2 (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - capeさん» ありがとうございます!今後も頑張りますっっ (2017年8月28日 17時) (レス) id: d8b1658e8e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:剣城京菜 | 作成日時:2017年8月2日 1時