百五十二 ページ2
目を覚ますと私は鳥籠の中にいた。
鳥籠の前に胡座をかいて愉快そうに笑う赤い目が居た。
「よく眠れたか？」
「……うるさい」
両手を檻と一緒に黒いつるで拘束されていた。
棘が刺さり痛くて動かせない。
「利口な行動だ。……奴と違ってな」
「奴……？」
赤い目の奥にもう一つ鳥籠がある。
「オロチ……っっ‼」
その鳥籠の中にはオロチが居た。
気を失っているようだった。
あの時のようにぼろぼろの姿。
「聞き分けのない愚かな奴だ。お前を人質にしたと言ったらまんまと騙されおった」
「酷い……っっ‼」
睨みつけると赤い目はにやりと笑った。
「酷い……か。それは我に言うべきことではないのではないか？」
赤い目が手を拘束したつるに触れると、それは灰のようになり消えた。
赤い目が鳥籠の扉を開けた。
なんのつもりだと赤い目を見る。
含みのある笑みで信用なんてできるわけない。
だけど私はそれよりもオロチを最優先した。
オロチの入っている鳥籠は鍵もついていなくて、簡単に入ることができた。
私はオロチの肩を揺らした。
「オロチ……オロチ……‼起きてよ‼」
問いかけても返事は無かったが、薄っすらと開いた目から黄金の瞳が弱々しくこちらに向けられた。
「オロチのばか……っっ」
私はオロチの胸に顔を伏せて泣いた。
「いい加減に……しろ……」
「こんな愉快なことやめられるはずがないだろう？」
オロチはボロボロの体で立ち上がり、赤い目を睨んだ。
「そう殺気立たせるな。ではまず私がいない間に起こったことでも話してもらおうか」
赤い目は全てわかっているような目で私たちを見る。
「幼子よ。貴様は最初哀れな不幸の子であった。だが貴様らは困難を乗り越え呪いの呪縛から解放された。それからなにを築いた？信頼か？愛か？友情か？なににせよそれら全てはまやかしだ」
「いい加減にして‼」
私は声を荒げて怒鳴った。
いきなり現れてこんなことされて腸が煮えくり返るというものだ。
「以前と比べて随分変わったようだな」
赤い目は平然とした態度を見せつけた。
「離して‼離してってばっっ‼」
今すぐにとっ捕まえてしまいたい程だった。
なのにオロチがそれを阻止する。
「そもそも貴様が哀れな不幸の子になった原因はなんだ？……偶然か？それとも必然か？」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 24人がお気に入り
お気に入り作者に追加
「妖怪ウォッチ」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
剣城京菜(プロフ) - 奈乃さん» http://uranai.nosv.org/u.php/list/Take2241/ こちらのURLに飛んで貰えれば完結したものが全て入ってます！もしくは私の名前をタップかクリックして貰えれば見つかります！ (2017年10月21日 23時) (
レス) id: d8b1658e8e (このIDを非表示/違反報告)
奈乃 - どんな作品がありますか？ 読んでみたいです！ (2017年10月21日 23時) (レス) id: e19d1310b2 (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - 奈乃さん» 楽しんで頂けて良かったです！残念ながらこの作品の続編を作る予定はありませんが現在投稿中の作品も過去作品もありますので良かったらそちらも読んで頂けると嬉しいです(^^) (2017年10月21日 18時) (レス) id: d8b1658e8e (このIDを非表示/違反報告)
奈乃 - 面白かったです！続編見たいです (2017年10月21日 18時) (レス) id: e19d1310b2 (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - capeさん» ありがとうございます！今後も頑張りますっっ (2017年8月28日 17時) (レス) id: d8b1658e8e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：剣城京菜 | 作成日時：2017年8月2日 1時
