夜桜74 ページ24
「ただAが父親にしてもらいたいことと父親がAに愛情としてしていることにすれ違いがあるだけだ。だがそれはAのせいでもあるだろう」
「でも……いい子でいなきゃママとパパ困っちゃうと思ったから……」
俯いてそうぶつぶつと言うとオロチは私の鼻をぐいとつまんだ。
「我が子に甘えられて嫌な気分になる親などそう居ないだろう。Aの両親がそういう親ではないことはAが1番分かっているはずだ」
オロチはぎゅっと私を抱きしめ、背中をぽんぽんと叩いた。
ふっと落ち着いて息を吐いた瞬間、突然部屋の扉が開いた。
咄嗟にオロチを突き飛ばした。
扉を開けたのはパパだった。
その後ろにはママも居た。
顔を真っ赤にさせ、物凄い形相で私に近づいた。
「ぁ……ごめんなさい……」
パパは見たことのない怖い顔で私の腕を引っ張った。
するとパパは内臓が飛び出そうな程に遠慮無しに私を抱きしめた。
その手は凄く震えていた。
「そうか……そうか……‼6年間も放ったらかしにしてごめんな……‼ずっとずっと辛い思いさせてしまって本当にすまない……っっだがこれだけは信じて欲しい……‼パパもママもAのことを心から愛しているんだ……‼」
苦しくて離して欲しくて肩を叩くが気づかず、それに気づいたママがパパの耳を引っ張った。
そしてようやくまともに息が出来た。
「あの、なA」
パパは涙と鼻水で顔をぐちゃぐちゃにしていた。
「……もういい。汚いから近づかないで」
私はぐちゃぐちゃの顔でまた抱きつこうとしたパパの肩を押した。
「……パパは、6年間のことをなかったことにしたくてプレゼントをあげた訳じゃないんだ。この6年間ずっとAとママのことを想っていてそれでだな……っっ」
「もういいって‼」
私は怒りを吐き出すかのように叫んだ。
「もういい」
パパが私のことをどう想っているかなんて分かってる。
私のことを鬱陶しい程に想っているなんて嫌でも感じる。
「言い訳なんて聞きたくない‼プレゼントもいらない‼だから……っっ今日は3人一緒に寝て‼それで3人で遊ぶの‼」
するとパパはその鼻水と涙でぐちゃぐちゃの顔でまた私を抱きしめた。
そこから更に泣き出す。
もう私は諦め抵抗するのをやめた。
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奈乃 - ドキドキできて、おもしろいです! (2017年11月18日 16時) (レス) id: e19d1310b2 (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - めがみんみんさん» そうでしたか!ありがとうございます!! (2017年11月4日 20時) (レス) id: d8b1658e8e (このIDを非表示/違反報告)
めがみんみん - よく見たら歴代オロチシリーズ全部見てました…(ºωº)あなたの温もりは(題名違ったらごめんなさい)とかのもニヒニヒ笑って見てました!今更ですけどほんとに凄いですね!新作絶対見ます! (2017年11月4日 19時) (レス) id: 2c7c481a55 (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - めがみんみんさん» ありがとうございます!既に新作出ていますのでそちらも読んでいただけると嬉しいです(*^^*) (2017年11月3日 23時) (レス) id: d8b1658e8e (このIDを非表示/違反報告)
めがみんみん - とても素敵な作品でした。私はとてもオロチが好きなのですが、この小説を寝る前とかに読んでニマニマしながら寝るのが日課となっていました(笑)完結は少し寂しかったですが、新しい作品を期待しています!これからも頑張ってください! (2017年11月3日 23時) (レス) id: 2c7c481a55 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:剣城京菜 | 作成日時:2017年10月9日 0時