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五十九 ページ9

ボコボコと隣のお墓の前の地面が割れ、動き出した。


「ひ……っ」


その割れ目から黒い手が無数に這い出してきた。

それに続き他のお墓から手が這い出してくる。

その全てが私が今まで襲ってきた妖怪たちだった。

両親のお墓の前の地面も割れ、4つの手が出てきた。

妖怪たちは私に襲いかかり、羽交い締めにし私に痛みを与えた。


「許サナイ……」


「仲間ノ仇……」


必死に抵抗しても子ども一人の力で抜け出せるなんて甘い考えだった。


「オ前ダケ幸セニナルナンテ許セナイ……」


「化ケ物メ……オ前ハ僕タチノ子ナンガジャナイ……」


ママ、パパ……。

ごめんなさいごめんなさい……。

許して許して許して……。

痛い……っっ。


「う……」


目を覚ますと目の前にオロチがいた。

体を起こすとだるい。


「……すまない。やはり一人にするべきじゃなかった」


オロチは自分の頬に手を当てていた。


オロチは数秒して


「寝相があまりに酷かったからな」


と答えた。

寝相どころじゃないのはわかってる。

「……ごめんなさい」


「謝る必要はない」


ふと私は手元にあったはずのクッションを探した。

クッションは部屋の扉の前にあった。


「なんとか、なるのかも。……たぶん」


眉をひそめるオロチに私はクッションを見せた。


「夢の中でクッション持ってた。最初、ベッドで寝てた。触れている物が持っていけたり……?するかな……?」


安易なこの発想はやっぱり愚直なことなのかもしれない。


「やってみる価値はありそうだが、また危険な目にあうとなると……」


オロチは腕を組んでじっと考えた。


「……痛いのもう平気。それに私都合良くなんか……なんでもない」


私は札の入ったポーチを両手にぎゅっと持ってベッドに寝転んだ。


「一人で行くつもりか」


「……オロチは夢に持っていける?」


意思もある者が物のように持っていけることに確信はない。


2回の経験の内に共通する事を見つけただけで根拠なんてない。


「……大丈夫だ」


そう言ってオロチはベッドに潜り込んだ。


「近い……」


私は壁に寄った。


「ねぇ、私が触れてないと駄目なんじゃないの」


「……そうか」


そうだとすればオロチが寝たあとに私がオロチに触れて痛みで気を失うことしかない。


「平気、だから眠って」


オロチは黙り込んで私をじっと見つめた。


「必ず助けにいく」


オロチはそう言って目を閉じた。


「おやすみ」

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設定タグ:妖怪ウォッチ , オロチ , 剣城京菜   
作品ジャンル:アニメ
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アミュレット - 今日も良かったです! (2017年5月18日 20時) (レス) id: f72bc11f9a (このIDを非表示/違反報告)
アミュレット - やっぱりオロチは、カッコイイですね(*^^*)主人公が危機にさらされた時には、必ず助けてくれる。私、オロチに惚れ直してしまいましたww (2017年5月15日 21時) (レス) id: f72bc11f9a (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - アミュレットさん» ありがとうございます、頑張ります(^^) (2017年5月15日 7時) (レス) id: d8b1658e8e (このIDを非表示/違反報告)
アミュレット - あと、一話で六十話ですね!焦らずゆっくりでも大丈夫ですので、更新頑張って下さい(*^^*)応援しています! (2017年5月14日 15時) (レス) id: f72bc11f9a (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - アミュレットさん» 今書きますのでもう少し待ってて下さいね(^^) (2017年5月13日 16時) (レス) id: d8b1658e8e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:剣城京菜 | 作成日時:2017年5月5日 18時

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