五十七 ページ7
2人はのそりのそりと私に近づき、肩に触れた。
「全て全テが嘘。お前ハ愛されてイナイ、存在スるコトさえ許さないカエセ……かエセ……」
ずしん、と地面が縦に揺れた。
街全体が影に覆われる。
その瞬間、周りにいたモヤたちが断末魔の叫び声をあげ赤い血飛沫をあげた。
生ぬるい雨が降り注ぐ。
あまりの恐怖に私は目を瞑った。
その瞬間、2つの破裂音とともに私の全身は赤く染め上げられた。
「ミーツけタぁ」
「い、いや……っっ‼……あれ?」
気づくと私はベッドで眠っていた。
やっぱり、夢だった。
暗闇が怖い。
私は部屋の電気をつけた。
「ひっ‼」
電気がついた瞬間、瞳孔の開いた目と目が合う。
「失礼な奴だ」
数秒してそれがオロチだと分かった。
でもまだ心臓がドクドクして頭がくらくらして倒れてしまいそうだ。
「随分とうなされていたようだが」
「……ちょっと、夢見ただけ」
パジャマの袖口で額の汗を拭った。
「……‼」
袖口に赤い斑点がついていることに気づき私はベッドから飛び出て鏡の前に立った。
黄色のパジャマは赤色のなにかでぐっちょりと
汚れていた。
私はもう頭がぐちゃぐちゃになってパジャマを脱いで扉へ投げつけて、オロチが使っていたクッションで耳を塞いで蹲った。
「A、一体なにがあったんだ」
オロチはクッション越しに私を揺さぶった。
私は動揺して泣きじゃくりまくり答えることは出来なかった。
小一時間程してやっとまともに受け答えができる程になった。
「またあいつの仕業か」
「……わかんない」
オロチはクローゼットから替えのパジャマを取り出すと私の前に置いた。
のろのろと着替えつつ私は夢の出来事を語った。
「……ただの夢で起こったことが現実に反映されるなどありえないだろう」
オロチは私が投げ捨てたパジャマを拾い上げて言った。
それで部屋を出ていこうとするオロチを引き止めた。
「……私も行く」
オロチの後について私も部屋を出た。
「きっと赤い目のせいだ」
洗濯機にパジャマを入れて回した。
部屋に戻り、私はベッドに座りオロチはその隣に座る。
「夢なら私も行けない……」
「ただの……夢かもしれない……」
現実逃避にそんなことを言ってみる。
だけど無理がありすぎるし難解な問題に答えも出ない。
「……また、眠ったら夢の続き?」
オロチは黙り込んだ。
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アミュレット - 今日も良かったです! (2017年5月18日 20時) (レス) id: f72bc11f9a (このIDを非表示/違反報告)
アミュレット - やっぱりオロチは、カッコイイですね(*^^*)主人公が危機にさらされた時には、必ず助けてくれる。私、オロチに惚れ直してしまいましたww (2017年5月15日 21時) (レス) id: f72bc11f9a (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - アミュレットさん» ありがとうございます、頑張ります(^^) (2017年5月15日 7時) (レス) id: d8b1658e8e (このIDを非表示/違反報告)
アミュレット - あと、一話で六十話ですね!焦らずゆっくりでも大丈夫ですので、更新頑張って下さい(*^^*)応援しています! (2017年5月14日 15時) (レス) id: f72bc11f9a (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - アミュレットさん» 今書きますのでもう少し待ってて下さいね(^^) (2017年5月13日 16時) (レス) id: d8b1658e8e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:剣城京菜 | 作成日時:2017年5月5日 18時