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五十六 ページ6

入った先は白い霧が立ち込めていた。

でもすぐにその霧は晴れていった。


「Aちゃん」


「ママ……?」


目の前に居たのは私のママ。


「ママ‼」


小さな私がぽてぽてと走ってママの足に抱きついた。


「ママ、できた??できた??」


小さな私はぴょんぴょんと飛び跳ねる。


「うん、できたよ」


ママは後ろに隠していた手を前に差し出した。

その手に持っていたのは女の子のお人形だった。


「かあわいー‼」


小さいな私はそれを受け取るとぴょんぴょんと部屋中を飛び跳ねた。

しっかり覚えているこの光景。


「ママ、私を見てよ……」


手を伸ばそうとするとびゅうっと突風が吹いた。

そしてママと私の幸せな光景は跡形もなく散ってしまった。


「ここは……」


私は積み木の街のど真ん中に居た。

円柱に積まれた壁に囲まれ、正面には階段がある。

その階ずつに小さな積み木の家がはめ込まれ、まるで犬小屋のようだった。


「ねェ、ネェ、オねェさん」


パジャマの裾を軽く引っ張られ、下を見下ろすとひときわ小さなモヤがこちらを見上げていた。


「都合の良ィおネぇさン、幸セ?」


「都合の良い……?」


すると小さなモヤは急に笑い出した。


「あハはハ‼自分デ気づヵなイナんて可哀想‼」


「な、なんで……気づくもなにも私は都合の良くなんて……ない……」


小さなモヤは甲高く笑いながらあちこち走り回り何処かへ消えてしまった。


「旅ノ方かネ、よクあんナ危険なトコヲ抜けて来なサッタ」


今度は目の前に杖を持った老人のモヤが現れた。


「危険?」


「えェ。最近コノ辺りデハとテも危険な化け物ガ居る故、皆街ノ外にハ出たガラなィんじャ」


化け物……?


「とコロで都合ノ良いお嬢サン」


「……また」


途端、周りにいたモヤたちが私を指差し騒ぎ始めた。


「都合の良ィ娘」


「都合ノ良いアワレナ娘」


「都合の良イ事ニ気づカヌ無知ナ娘」


都合の良いという情報が頭の中に次々入っていき混濁していく。


「うるさい!!」


思わず私はそう叫んだ。


「コこは夢の世界」


「こココは精神世界」


「哀れナ化け物ノ娘ノ楽しイ楽シい世界」


「どうシテ存在スるのカ?」


「どうシテココに居ルのか?」


違う……違う違う違う‼

すると目の前に黒い煙が現れた。


「ママ、パパ……?」


「天使ナンて嘘。悪魔よ」


「僕たちを殺しテオイてのうノウと生きテイるなんて許せナイ」

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設定タグ:妖怪ウォッチ , オロチ , 剣城京菜   
作品ジャンル:アニメ
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アミュレット - 今日も良かったです! (2017年5月18日 20時) (レス) id: f72bc11f9a (このIDを非表示/違反報告)
アミュレット - やっぱりオロチは、カッコイイですね(*^^*)主人公が危機にさらされた時には、必ず助けてくれる。私、オロチに惚れ直してしまいましたww (2017年5月15日 21時) (レス) id: f72bc11f9a (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - アミュレットさん» ありがとうございます、頑張ります(^^) (2017年5月15日 7時) (レス) id: d8b1658e8e (このIDを非表示/違反報告)
アミュレット - あと、一話で六十話ですね!焦らずゆっくりでも大丈夫ですので、更新頑張って下さい(*^^*)応援しています! (2017年5月14日 15時) (レス) id: f72bc11f9a (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - アミュレットさん» 今書きますのでもう少し待ってて下さいね(^^) (2017年5月13日 16時) (レス) id: d8b1658e8e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:剣城京菜 | 作成日時:2017年5月5日 18時

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