九十七 ページ47
パレード開始場所に向かう途中、仮想した人がちらほらといた。
中に本物が紛れ込んでいるのはばれないのだろうか。
「ねぇ、オロチ。……あそこにいるの、他の人には見えてるよね?どうして?」
遠くにいる藁の帽子を被ったちっちゃい妖怪を指差した。
オロチは何も言わずそっぽを向いた。
説明するのが面倒くさいんだろうなと実際他に見えるのかどうかはあまり気になることではなかった。
「たまにいるダニよ。霊感あるなし関係なく見えることが。ちなみにミーたちは葉っぱを頭にのせて人に化けていることもあるダニ」
オロチの代わりにUSAピョンが説明をしてくれた。
「USAピョンはその葉っぱ持ってないの?」
イナホちゃんがUSAピョンに聞くとUSAピョンは首を横にふった。
「イナホはそんなにもミーと一緒に歩きたかったダニか」
「ぇえー?んなわけないじゃん‼こんな小動物連れて歩いたらまさにペットの散歩じゃないですかー。私はオロチに使うべきだと思うわけですよー」
するとオロチは首を横にふった。
怒る寸前のUSAピョンを他所にイナホちゃんは話を続ける。
「だって人の姿になれたらAちゃんと堂々とデートができるわけですよ?美男美女羨ましいじゃないですかあー‼ねっ、ね‼ちょっとだげでい〜ですから、ねっ??」
ぐいぐいと迫るイナホちゃんにオロチは表情を一切変えることなく、ただ腕を組んで黙り込んでいた。
「私は妖怪でも人に近い姿をしている。……なにも変わらないだろう。そもそも他者から見えることになんの意味がある」
オロチはそんなことを言った。
「ぁ、あの、イナホちゃん……オロチ……怒ってるから、ね?」
イナホちゃんの暴走を止めようとしたその時だった。
「な、なに……?」
突然空が灰色がかり、霧が立ち込めた。
「……雨?」
空気が変わり、イナホちゃんの暴走は自然と止まった。
「違う……居ない」
「……どういうことだ」
私は辺りをきょろきょろと見回した。
「……皆居ないの。人も、妖怪も……急に消えちゃった……」
「それってどういう……」
イナホちゃんは数メートル先を走り、曲がり道を覗き込んだ。
「なんか……誰もいないみたい、だけど」
「どういうことダニ?一体なにが起きてるダニ」
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アミュレット - 今日も良かったです! (2017年5月18日 20時) (レス) id: f72bc11f9a (このIDを非表示/違反報告)
アミュレット - やっぱりオロチは、カッコイイですね(*^^*)主人公が危機にさらされた時には、必ず助けてくれる。私、オロチに惚れ直してしまいましたww (2017年5月15日 21時) (レス) id: f72bc11f9a (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - アミュレットさん» ありがとうございます、頑張ります(^^) (2017年5月15日 7時) (レス) id: d8b1658e8e (このIDを非表示/違反報告)
アミュレット - あと、一話で六十話ですね!焦らずゆっくりでも大丈夫ですので、更新頑張って下さい(*^^*)応援しています! (2017年5月14日 15時) (レス) id: f72bc11f9a (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - アミュレットさん» 今書きますのでもう少し待ってて下さいね(^^) (2017年5月13日 16時) (レス) id: d8b1658e8e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:剣城京菜 | 作成日時:2017年5月5日 18時