九十 ページ40
土曜日の10時20分のこと。
私は駅へ急いでいた。
「もう20分も過ぎてるぞ」
「分かってるってば……‼」
何故こんな急いでいるのかと言うと……。
「あっ、Aさん。ちわっち‼」
「ご、ごめ、んなさい……」
今日はイナホさんと電車で生地を買いに行く約束をしていた。
誰かと約束して待ち合わせをするなんて初めてのことで緊張して眠れなくて、こうして20分という大遅刻をしてしまった。
「あの、本当……ごめんなさい……その……」
謝る以外に言葉が見つからない。
「実は私もつい来たばかりなんだよねぇ。だから全然待ってないし、寧ろ丁度いいっていうか……」
「気にしなくていいダニ。イナホは少し待たされたほうがいいダニ」
口論が始まりそうになると、都合よく電車がやってきた。
「そんじゃ、急ごう‼」
「ぇ……あっ」
イナホさんに手を引かれ、改札をくぐり電車に飛び乗った。
「セーフ!流石にこの時間だと人も少ないですな〜」
イナホさんはきょろきょろと電車内を見回した。
「Aさん、ここ座ろ」
イナホさんに促されるまま、私はイナホさんの隣に座った。
USAピョンとオロチは向かいの座席に座った。
「イナホさん……その……いろいろごめんなさい……。ありがとう……」
「私はなにもしてないよ。ただ本能の赴くままというか……」
向かいの席から
「ただの欲望ダニ」
と割り込んできた。
「私……嘘ついてると分かる……なんとなくだけど……」
ふとオロチと目があった。
私は一息ついて声を漏らす。
「……嘘。本当は知らない……なにも知らない……知りたくもないよ」
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アミュレット - 今日も良かったです! (2017年5月18日 20時) (レス) id: f72bc11f9a (このIDを非表示/違反報告)
アミュレット - やっぱりオロチは、カッコイイですね(*^^*)主人公が危機にさらされた時には、必ず助けてくれる。私、オロチに惚れ直してしまいましたww (2017年5月15日 21時) (レス) id: f72bc11f9a (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - アミュレットさん» ありがとうございます、頑張ります(^^) (2017年5月15日 7時) (レス) id: d8b1658e8e (このIDを非表示/違反報告)
アミュレット - あと、一話で六十話ですね!焦らずゆっくりでも大丈夫ですので、更新頑張って下さい(*^^*)応援しています! (2017年5月14日 15時) (レス) id: f72bc11f9a (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - アミュレットさん» 今書きますのでもう少し待ってて下さいね(^^) (2017年5月13日 16時) (レス) id: d8b1658e8e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:剣城京菜 | 作成日時:2017年5月5日 18時