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二十一 ページ21

ぼとり、と柔らかく大きいものが落ちる音が幾つか聞こえ、生暖かい雨がぽたぽたと降り注いだ。

はっと目を開けた瞬間、むせ返る。

動かなくなったそれはとても見ていられない。

まだぴくぴくと動いている。


「こいつらはいくら切り落としても再生する。今のうちに……っっ」


オロチは私を両手でしっかり抱えるとまた飛び始めた。

吐きそうなものを必死に抑え、後方をちらりと見る。

オロチの言ったとおり物凄い早さで再生を始めていた。

いくら進んでも道は終わらない。


「……‼」


道の先になにか空中に光るものがあった。

近づくに連れてそれは長方形の形だと認識できた。


「あ、あれ……」


「なにか見えるのか」


何故かオロチには見えてないらしい。

私は持っていた札をもって手を伸ばした。

札と光が合わさった瞬間、眩しい光を放った。

それと同時にオロチと前と後ろが入れ替わる。

バン‼という音の後に私とオロチはごろごろと転がり、壁に激突した。

痛みは無かった。

それはオロチが私を支えてくれていたからであった。

ここは理科室らしく、扉がへこんで落ちていた。

化け物は何故か中までは入ってこず、何処かへ行ってしまった。


「……あの、退いて」


私が突き放すとようやく離れてくれた。


「……なんでオロチは私を助けようとしたの」


私は疑問に思ったことを口にした。


「あのまま放って良かったんだよ。助けなんていらない……っっ‼」


すると左頬に鋭い痛みを感じた。

オロチは自分の右拳を左手でさすった。


「私を助けるくらいなら私を殺して皆を助けてよ……っっ‼」


私は勢い任せにオロチの肩を嬲った。


「痛いって嫌って言って……‼」


かすれる声で私はそう訴えた。


「痛いのはAも同じだろう。きっとAが1番辛いはずだ」


「なにがわかるの……?私痛くないし辛くないよ全然痛くない……‼痛いのはパパとママと夏恋さんだよ……‼私、なんて……っっ」


次の言葉はきっと"痛い"。


「……怖いよ」


出てきた言葉は痛いではなく"怖い"だった。

オロチは震える私に肩を抱いた。

この感情を涙にして零しても消えることはない。

なのに涙は意味も持たず落ちていく。


「……オロチは私を殺すつもりはないの」


オロチは頷く。


「……信じられない。死にたいと思うのも変わらない。オロチがなに考えているかわかんない」

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設定タグ:妖怪ウォッチ , オロチ , 剣城京菜   
作品ジャンル:アニメ
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剣城京菜(プロフ) - 浅葱さん» ありがとうございます頑張ります(^^) (2017年5月1日 9時) (レス) id: d8b1658e8e (このIDを非表示/違反報告)
浅葱 - 不器用な感じが良いです更新頑張って下さい (2017年4月30日 23時) (レス) id: c9c24569e0 (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - シオン!!さん» ありがとうございます頑張ります!! (2017年4月10日 16時) (レス) id: d8b1658e8e (このIDを非表示/違反報告)
シオン!! - 頑張ってくださいね! (2017年4月9日 2時) (レス) id: 4af10f54a6 (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - *gami*さん» ありがとうございます!!頑張ります(^^) (2017年4月6日 0時) (レス) id: d8b1658e8e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:剣城京菜 | 作成日時:2017年4月4日 19時

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