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夜桜12 ページ12

いつまでも海に入っていても体を冷やして良くないので砂遊びでもすることにした。

とりあえず砂を盛って大きな山を作ることにした。

はしゃぎ声がなんだかもやもやする。

手を休めていると日陰がその山を覆った。


「……手伝おう」


そう言ってオロチは作りかけの山に更に砂を被せていった。

二人でやれば砂山くらいは結構すぐにできる。


「次はどうする」


「ぇ、……トンネル作って山の周り掘ってそっから海の方に繋げる」


と言うわけでまず水が通る穴を掘ることにした。

両側から中を穿っていく。

やがて壁が薄くなっていき、オロチの手と当たった。


「あ、握手〜」


見えない中でオロチと握手を交わす。

ふとオロチの顔を見るとオロチは不思議そうな顔をした。


「……なんのことだ。まだたどり着いてないが」


引っ込めようと力を入れるが握手した手は物凄い力で私を引き止める。


「えええ死ぬ‼死ぬ‼助けて‼」


激しく手を振ると山の天辺がひび割れ、ぼろぼろと壊れてしまった。

そこから現れた私の手を辿って見るとその手はオロチと繋がっている。


「騙したな‼」


あいた手で殴ろうとするとオロチは簡単にそれを手で止めてしまった。

やっぱり嫌いだ。


「散歩してくる‼着いてこないでよね‼」


きつく言い放って私はオロチに背を向けた。

足取り荒く大股で歩いていると醤油とソースののいい香りが鼻を通った。


「美味しそう……」


ぐうう、とお腹が鳴る。

そう言えばもうお昼だ。

でもなにか食べるにしても今はお金を持っていない。

戻ればいいのだけれど怒って来た手前、そんなことはできない。


「あら、あー君お口についてるわよ」


あんな光景どうか見せないで欲しい。

……馬鹿みたい。

いや、馬鹿なのは私だ。

ぐっと堪えて私は足早にその場から離れた。

それからどのくらい歩いたのだろうか。

あちこち歩き回っているとふと人の声が途絶えたことに気づいた。

随分遠くまで来たらしい。


「……きらきら」


テトラポットの隙間でなにかきらきら光った。

近くに来て見てみるとそれはピンク色のビーチグラスだった。

凄く小さなものだった。

前にテレビで見たことがあるのだけれどこんな色は凄く珍しいらしい。


「……許してあげる、かな」


もうすぐ夕方になってしまうしそろそろ戻ろうと振り返った。

飛行機のエンジン音が消えていく中に、誰かの泣き声が混じっていた。

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設定タグ:妖怪ウォッチ , オロチ , 剣城京菜   
作品ジャンル:アニメ
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剣城京菜(プロフ) - 私も最初映らなかったのでおかしいなと思って何回か試したんです。でも直らなくてずっと放置してました(汗)つい今試してみたらきちんと表示されたのでもう大丈夫だと思います!ありがとうございました!!これからもより良いものが作れるように頑張りますっっ (2017年10月8日 22時) (レス) id: d8b1658e8e (このIDを非表示/違反報告)
青鯖。(プロフ) - あの、表紙の絵が半分より下が映ってないです…。最初はネット繋がり悪いのかな?って思ったんですけど、多分半分しか貼れてないと思います…違ったらすみません汗 夜桜語りも面白かったです!応援してます!長文失礼しました!! (2017年10月8日 19時) (レス) id: 87d9268c5a (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - アミュレットさん» ありがとうございます!これからも頑張りますっっ! (2017年9月8日 20時) (レス) id: d8b1658e8e (このIDを非表示/違反報告)
アミュレット - 新作が出来て、嬉しいです(^^)これからまた、頑張って下さい! (2017年9月8日 18時) (レス) id: f05737ad1b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:剣城京菜 | 作成日時:2017年9月1日 18時

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