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ひろside
突然泣き始めた陵を目の前に、頭の中がこんがらがる。
これじゃあまるで、オレが泣かせたみたいじゃないか。
助けを求めて愁を見ると、彼は慣れた手つきで陵の背中をさすり始めた。
「大丈夫だよ。ひろすぐ戻ってくるから、ね？」
幼い子どもに向けるような、優しい声。
いつもは毒しか吐かないその口も、今は甘い言葉を紡ぐだけで。
こくりと小さくうなずいた陵に、愁は優しく微笑んだ。
困惑しながらその様子を眺めるも、普段とかけ離れた陵の姿に、オレの頭は余計にこんがらがる。
「いいよひろ、行って来て。陵のことは僕が看とくから」
頭の中を整理する前にそう言われ、オレは何も理解出来ないまま、うなずいた。
今度こそソファーを離れ、共同リビングを出る。
自室に向かって歩いて行くと、途中で蓮と会った。
「ひろ！陵の様子どう？」
蓮もオレと同じように、帰ってすぐ陵のもとへ行こうとしたのだろう。荷物も制服もそのままだ。
「陵結構ヤバいから、先に荷物置いて着替えてった方がいいぞ」
頭にこびりついた陵の涙を思い出しながら、蓮に言う。
蓮は軽く目を見開いて、それから心配そうに眉を下げた。
「そんなになのか？」
人一倍お人好しな彼のことだ。心配でたまらないんだろう。
そんな蓮をオレは、共同リビングとは反対方向へ押した。
「行けばわかるから、とりあえず部屋。オレも早く戻んなきゃだし」
共同リビングで待つ陵が心配でたまらないのは、オレも同じ。
……なんか恥ずかしいから、絶対言わないけど。
そういうわけで蓮と一緒に部屋まで行って、着替えて荷物も置いて、それからオレたちは共同リビングへと戻った。
陵、と声をかけようとすると、オレたちに気付いた愁が、口元に人差し指を当てる。
「陵寝ちゃったから。静かにね」
ソファーに近づくと、毛布にくるまって眠っている陵が見えた。
不自然に赤い頬と目元が、陵の体調を静かに物語っている。
「え、陵泣いたの？」
陵の赤い目元に気付いたのだろう。蓮が驚いたように声をあげた。
愁が苦笑しながらうなずく。
「幼児退行って言うのかな？普段の疲れが出たのかもね」
どっちかって言うとお兄ちゃん気質で、決して人に弱いところを見せようとしない陵。
……たまにはこうやって弱いところも見せてほしいな、なんて柄にもなく思った。
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暁☆(プロフ) - ayahanaさん» こちらこそいつも優しいコメントありがとうございます！ おかげでまだまだ続けられそうです (*´ `*) ぜひ今後ともよろしくお願い致します〜！ (2021年2月13日 9時) (
レス) id: f1423fd483 (このIDを非表示/違反報告)
ayahana(プロフ) - 更新ありがとうございます！まだ続けて下さるどころか頻度上がるかもということで凄く嬉しいです、次のお話も楽しみにしています！ (2021年2月13日 0時) (レス) id: a867efffe4 (このIDを非表示/違反報告)
暁☆(プロフ) - ayahanaさん» お待たせして申し訳ありません！こちらこそ読んでくださりありがとうございます〜<(_ _)> (2020年8月20日 7時) (レス) id: f1423fd483 (このIDを非表示/違反報告)
ayahana(プロフ) - 更新ありがとうございます！ (2020年8月20日 0時) (レス) id: a867efffe4 (このIDを非表示/違反報告)
暁☆(プロフ) - りんごさん» ありがとうございます！頑張りますね！ (2020年6月23日 20時) (レス) id: f1423fd483 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：暁☆ | 作成日時：2018年6月15日 20時
