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陵side


ぼんやりと、意識が戻ってくる。

重いまぶたをゆっくり開けると、なぜか俺はソファーにいて、隣には愁が座っていた。


「……愁?」


ずっと眠っていたせいか、発した声は酷くかすれている。

小さく空咳をこぼすと、愁が優しく背中をさすってくれた。


「大丈夫?熱はだいぶ下がったね」


……熱。

その言葉にやっと、自分がどうして眠っていたのかがわかった。

それでもどうして共同リビングにいるのかがわからない。

思い出そうとすると、頭がずきんと痛んだ。


「…なんで、ここにいんの、」


考えることは諦めて、手っ取り早く愁に尋ねる。

彼はぱちりと大きな瞳を瞬いて、覚えてないの?と首を傾げた。


「…俺、何かした?」


覚えてないの、なんて聞かれるくらいのことをしてしまったのだろうか。覚えてないけど。

かすれた俺の声を気づかってか、愁がペットボトルの水を渡してくる。

それを飲むと少しだけ、楽になった気がした。


「何かしたかって聞かれると何もしてないけど……可愛かったよ、陵」


「は?」


曖昧な返事と、男に送るにしては嬉しくない言葉が愁の口から飛び出してくる。

思わず低音では?とこぼすと、愁がびくりと首をすくめた。


可愛いなんて、そんな言葉が俺に向けられることがあるのか。

いったい何をしたんだろう。
…気になるけど、思い出したらいけない気がする。


「とりあえず一回熱計ろ?」


隣に座る愁はわざとらしく話題をすり変え、体温計を差し出してきた。

それを受け取って脇に挟むと、やっぱりまだ熱はあるのか、ひんやりと冷たい感触が伝わってくる。


しばらくしてから鳴った体温計は、37℃後半を示していた。

黙って愁に見せる。

彼は心配そうに眉を下げ、俺の頭を撫でてきた。


「まだちょっとあるね…」


「なんで撫でてんの」


いつもは撫でられるなんてこと、ありえない。

慣れない感覚に戸惑いながら声をあげると、愁はハッと手を離した。


「ごめん、さっきまでの癖で」


怒られると思ったのだろう、首をすくめてあわてたように弁解してくる愁。


……さっきまでの、癖?

どういうことだろう。

さっきまで……やっぱり、俺が何かしたんだろうか。


「…とりあえず俺、部屋戻る。もう大丈夫だから」

考えても思い出せないんだ。しょうがない。

それに何だか知るのが怖い気もするし、俺はそう言ってソファーから立ち上がった。







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暁☆(プロフ) - ayahanaさん» こちらこそいつも優しいコメントありがとうございます! おかげでまだまだ続けられそうです (*´ `*) ぜひ今後ともよろしくお願い致します〜! (2021年2月13日 9時) (レス) id: f1423fd483 (このIDを非表示/違反報告)
ayahana(プロフ) - 更新ありがとうございます!まだ続けて下さるどころか頻度上がるかもということで凄く嬉しいです、次のお話も楽しみにしています! (2021年2月13日 0時) (レス) id: a867efffe4 (このIDを非表示/違反報告)
暁☆(プロフ) - ayahanaさん» お待たせして申し訳ありません!こちらこそ読んでくださりありがとうございます〜<(_ _)> (2020年8月20日 7時) (レス) id: f1423fd483 (このIDを非表示/違反報告)
ayahana(プロフ) - 更新ありがとうございます! (2020年8月20日 0時) (レス) id: a867efffe4 (このIDを非表示/違反報告)
暁☆(プロフ) - りんごさん» ありがとうございます!頑張りますね! (2020年6月23日 20時) (レス) id: f1423fd483 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:暁☆ | 作成日時:2018年6月15日 20時

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