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湊side
「とりあえずベッド戻ろっか」
ベッドから立ち上がった瞬間床に崩れ落ちた海真の背中は、燃えるように熱くて。
こんなに熱いんだからきっと、昨日辺りから既に体調は悪かったはず。
心配からいつもより少しだけ強くなったおれの声に泣いてしまった海真は、完全に体重をこっちに預けてきていた。
「…ん」
こくりと小さくうなずき、ゆっくりと立ち上がろうとする海真。
でもさっき立てなくて崩れ落ちたくらいだ。
足に力が入らないようで、すがるような瞳をおれに向けてくる。
「ちょっとだけ頑張れる?」
さすがに力の抜けてしまった海真を抱え上げる力は持ってない。
うなずいた海真にありがとう、と返し、おれは彼の背中を支える手に力を入れた。
「せーの、…っ」
何とか立ち上がったものの、海真の全体重がおれにかかってきて、思わずよろめく。
頑張って海真をベッドに戻したところで、部屋の扉が開いた。
恵がひょこりと顔をのぞかせる。
「海真大丈夫か?」
LINEを見てくれたのだろう、いつもより小さく抑えられたその声は、きっと海真に気を使って。
海真がゆらゆら揺れて不安定な瞳を恵に向けた。
「…だいじょうぶ」
危うい呂律でそう言った海真の目が赤いことに気付いたのか、恵は不安げに眉を下げる。
それから海真の細い髪をさらりと一撫でした。
「いつから調子悪かったんだ?」
恵がちらりとおれを見て言う。
「どうなんだろう…おれが来たときにはもうこんなかんじで。海真、いつから具合悪かったの?」
今度は語調が強くならないように気をつけながら優しい声で聞くと、海真はそっと目を伏せた。
「朝、おきたとき」
……朝起きてから?
そんな短時間で、ここまで酷くなるものなのだろうか。
恵も同じことを思ったみたいで、海真の頭を撫でる手を止める。
「嘘つくな。今日からじゃないだろ?」
やばい、と思った。
少し強い声でも泣き出してしまう今の海真に、恵の言葉は。
「…っ」
案の定、海真の火照った頬を涙が伝う。
急に泣き出した海真に、恵が動揺したようにえ、とこぼした。
おれはあわてて海真の上半身を起こし、その背中をさする。
「怒ってないから大丈夫だよ」
さっきより熱くなっているような気がする海真の背中に、おれはスマホで石谷先生へ車のお願いをした。
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暁☆(プロフ) - ayahanaさん» こちらこそいつも優しいコメントありがとうございます! おかげでまだまだ続けられそうです (*´ `*) ぜひ今後ともよろしくお願い致します〜! (2021年2月13日 9時) (レス) id: f1423fd483 (このIDを非表示/違反報告)
ayahana(プロフ) - 更新ありがとうございます!まだ続けて下さるどころか頻度上がるかもということで凄く嬉しいです、次のお話も楽しみにしています! (2021年2月13日 0時) (レス) id: a867efffe4 (このIDを非表示/違反報告)
暁☆(プロフ) - ayahanaさん» お待たせして申し訳ありません!こちらこそ読んでくださりありがとうございます〜<(_ _)> (2020年8月20日 7時) (レス) id: f1423fd483 (このIDを非表示/違反報告)
ayahana(プロフ) - 更新ありがとうございます! (2020年8月20日 0時) (レス) id: a867efffe4 (このIDを非表示/違反報告)
暁☆(プロフ) - りんごさん» ありがとうございます!頑張りますね! (2020年6月23日 20時) (レス) id: f1423fd483 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:暁☆ | 作成日時:2018年6月15日 20時