男子高校生の体調不良集 part2

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愁side


「うわあ…。先生ー、38.9とか出たんだけど壊れてないよね？」


「勝手に壊さないで！てゆーか熱高いね、早退コースかなぁ」


保健室。

検温し終えた海真は、白いベッドの上でぐったりしている。

僕は持っていた体温計を石谷先生に渡した。


「私車出すから愁君授業戻って良いよ。ありがとね、海真君連れて来てくれて」


「えぇ…僕も帰るつもりだったんだけど」


海真一人じゃ心配だからだよ！サボりたいわけじゃないからね！


「うーん…」


やっぱりダメかなぁ。

難しい顔で口元に手を当てる石谷先生。


「ほら、海真発作起こしちゃうかもしれないし！先生は心配じゃないんですか？」


「…愁君、たまに思い出したように敬語使うのやめよう？」


あ、ばれた。ついつい忘れちゃうんだよね。


「気をつけます」


だって石谷先生って、若いし親しみやすいんだもん。

石谷先生は「ぜひ気をつけて」と笑い、それから海真に視線を移した。

海真は相変わらず浅い息を繰り返してて、目を開けているのもきついのか、固く目を閉じている。


「…そうしようか。海真君一人じゃ確かに心配だし。じゃあ愁君、荷物取って来てくれる？海真君のも」


「はーい」


「私先に海真君連れて行くから。荷物持ってそのまま車に来てね」


「うん…ぁ、わかりました」


石谷先生は、あわてて言い直した僕に苦笑しながら、海真が体を起こすのを手伝い始めた。

僕もそれを見て、保健室から出る。





……と。


「…しゅう、」


海真の小さな声が、僕を呼び止めた。


振り向くと、海真が弱々しく微笑む。

海真って体調悪いと表情がコロコロ変わるね。


「……ぁりがと…」


ごめん、とは言わなかった海真。

うん、それで良し。


「どういたしまして」


僕も、笑って答える。



あーあー…元気なときでもこれくらい表情豊かなら良いのになぁ。



　

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